減税がもたらす「副作用」への懸念(写真:イメージマート)
高市早苗首相が表明した「飲食料品の消費税率を来年4月から2年間、1%に引き下げる」方針が8月5日、閣議決定された。現在8%の飲食料品の消費税が1%になるなら、家計防衛に日々頭を悩ませている消費者としては願ってもない……かに思えるが、どうやら実態は異なるようだ。消費減税が景気に与える本当の影響に迫った。【全3回の第3回】
最大の懸念は2年後の反動
減税によって消費が増え、景気がよくなるのではないかという見方もあるが、それは絵に描いた餅。たとえすべての飲食料品が値下げされても、食べられる量には限界があり、消費期限もあるため、消費が大幅に増えるわけでも、市場全体が拡大するわけでもないからだ。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが説明する。
「飲食料品の税率を引き下げるだけでは消費の拡大は見込めません。家や車などの大きな買い物が増えないとGDP(国内総生産)の成長にはつながらない。景気が回復せず、事業者が苦しむ状況になれば、生活保護などの申請が増え、財政が圧迫される可能性があります」
そもそも今回の減税により、国全体で年間約5兆円、地方で年間約1兆6000億円の税収減が見込まれるにもかかわらず、それを補填する財源はいまだ決まっていない。多摩大学経営大学院客員教授の真壁昭夫さんが言う。
「消費税は法律上、年金・医療・介護・少子化対策に充てると定められています。それが減れば医療費や社会保障費へのしわ寄せが懸念される。私たちの健康が脅やかされるかもしれないのです」
もっとも大きな懸念は、2年後、軽減税率の期間が終了してからの反動だ。経済評論家の岩本さゆみさんが言う。
「1%に下げても物価が大して下がらなかった場合、そこから8%に戻せば、消費者の実感的には値上げと同じです。
2年後に減税分の財源が不足したままなら“8%に戻すだけでは財源が足りないので、さらに消費税を引き上げます”といった最悪の事態にもなりかねません」(岩本さん・以下同)
