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大竹聡の「昼酒御免!」

【大竹聡の昼酒御免!】「どうだ、うまいだろ」コリッとした食感、ピュッと飛び出る甘い脂…「本厚木のホルモン屋」でシロコロと戯れながら“報恩の真面目酒”

おしぼりで汗を拭い、ビールとキャベツで逸る心を落ち着かせる

おしぼりで汗を拭い、ビールとキャベツで逸る心を落ち着かせる

あまりの感動に言葉を失う

 さて、開店だ。予約は3名からとなっているが、取材もかねての飲食なので特別に2階にあげてもらい、テーブルについた。おひとりで出かける場合は、1階のカウンター席に通される。ここも、賑やかで、おすすめです。

 まずは生ビール。それと、おひとり1人前までと決められているシロコロホルモンをケンちゃんと私で、都合2人前頼む。品切れ御免の名物だから、ひとまず確保するわけだ。

 生キャベツを齧りながら待つことしばし。背後や横のテーブル、もちろん私たちのテーブルにも、シロコロホルモンが運ばれてきた。ぼってりしたホルモンが、真っ白な皿の上で、赤褐色のタレをまとって寝そべっている。その姿、やや物憂げな感じもする。網が熱せられるのを待ってシロコロを網に乗せると、しばらくして首をもたげ、横座りになり、最後にはきちんと正座して、コリコリ、プリプリ、いかにもうまそうになってきたなと思っていると、管状の腸の中から脂がじわりとにじみ出る。

こいつを黙々と焼き、シメシメと頬ばれば、至福の時が訪れます

こいつを黙々と焼き、シメシメと頬ばれば、至福の時が訪れます

 官能的な見栄えである。油断をすると、あっという間に焦げる。そこで裏返すと、また、じわりと脂が出る。ハタと気づくのは、この脂がうまい! ということなのだ。

 豚の大腸だ。半生で食べてもいいのか? と思わないわけではないけれど、ここで注意すべきは焼きすぎだ。管の中から脂をじわりと滲ませているシロコロを味噌ダレにつけて口へ放り込む。熱々の腸管の中から、熱い熱い脂が放出される。ピュッと出る感じ。これがうまい。半生じゃない。

 軽い焦げめとホルモン特有の匂い、食感……。そして、甘いのだ。なんとも、深いのだ。

「おお! これは……」

 ときにマシンガンのように喋るケンちゃんが言葉を失っている。そうそう、それで正解。どうだ、うまいだろ。私が威張ることではないが、この反応を待っていたのだ。私も、久しぶりの酔笑苑のシロコロだったから、その感動もひとしおだった。

「古い付き合いのルートで仕入れる絶品豚の大腸を裏返して、徹底的に洗浄しているから臭みがない。脂がつまっている管の内側ね、これがもともと腸管の外側なんだね。もし脂がついている外側を炙ったら脂はすぐに焦げてしまうだろうけれど、管を裏返して内側にキープしているから、コリっとした管の食感と、熱々の甘い脂を楽しめるわけだね」

 先刻、グッとこらえたウンチクを開陳する。はあ、気分がいい。酒のウンチクは聞くのも話すのもあまり得意じゃないが、シロコロについては、きちんと説明したい。お店の人が聞いたらいかにも舌足らずだろうし、誤っているかもしれないけれど、私もときにはウンチクに感動をのせて伝えたいと思うのだ。

 けれど、もう、言葉はあまり要らないのだ。

 私たちは夢中で、シロコロを食べ、生ビールを飲み、ジョッキをたちまち空にすると角ハイボールに切り替えた。

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