紹介先は同じ葬儀社…過当競争が生む広告のゆがみ
問題のある広告は葬儀社も出していますが、葬儀社仲介業の中には特にひどいものも多い印象です。
なぜ葬儀社仲介業者は、消費者が誤解するような広告を出し続けるのでしょうか。私は以下のように考えています。
インターネットを主戦場とする葬儀社仲介業界は、新規業者が参入しては消えている競争の激しい市場です。中には、昔から葬儀業界で活動しており、コネクションや墓石の販売などの優位性を持ち、黒字化できているまっとうな業者もあります。しかし、葬儀社仲介業者の多くは、ベンチャー系IT企業が葬儀市場にビジネスチャンスを見出して2000年代後半以降参入したものです。葬儀社仲介業者の評価は、紹介する葬儀社の品質によって決まるはずですが、遺族がどの仲介業者に頼んでも大体「同じ葬儀社」が紹介される構造です。
その背景には、次のような事情があります。
仲介業者は3割程度の手数料を、紹介先の葬儀社から受け取ると言われています。自社で集客できる葬儀社は、わざわざ高額の手数料を払ってまで顧客を獲得しようとは思わないでしょう。必然的に、そうでもしないと受注できないレベルの葬儀社が、参加することになります。手を挙げた葬儀社は、複数の仲介業者と契約する傾向があります。競争原理によって手数料はどの仲介業者も同じ水準に落ち着くため、それなら受注件数を増やすべく複数の仲介業者と手を組んだ方が合理的だからです。
複数の仲介業者と契約することで、遺族に対する各社の価格体系の説明が不正確になる弊害も発生します。
複数の仲介業者から紹介を受ける葬儀社に勤めている友人がいるのですが、「どこの仲介業者から紹介された案件か区別が付かなくなって、葬儀社側に悪意はないけど遺族との打ち合わせの時に価格体系の細かい説明がデタラメになる弊害がある」という話を聞きました。
受注側の葬儀社が複数の葬儀仲介業者と契約する状態が一般化したため、前述のU社は「他の仲介業者と取引しないなら、特約加盟店として有利な条件を与える」と葬儀社に持ちかけていました。公正取引委員会はこれを問題視し、2021年に調査を開始したため、U社はこの制度を廃止しました。
紹介される葬儀社が同じということは、提供される葬儀サービスに差がないということです。そうなると仲介業者は消費者に選ばれるため、他社より低価格で提供し始めます。しかし葬儀の単価は下落し利益も減少しているため、各社ともにこれ以上下げられない低価格で横並びの状態にならざるを得ません。その結果、「広告でいかに消費者に安いと勘違いさせるか」の勝負になってしまうわけです。
高額な商品を扱っているのですから、金融機関に対する金融庁のように広告規制をかける公的機関が必要なはずです。しかし葬祭業は許認可事業ではないこともあり監督官庁が無く、消費者庁や消費者団体任せになっています。
仲介業界でトップと言われているU社がグレーゾーンの広告戦略を取り続けるのであれば、2番手以降も追随せざるを得ません。こうして消費者を誤解させる広告がはびこる残念な結果になっています。
山中さんのように「打ち合わせ段階で話が違う」となった場合、泣き寝入りしないためにはどうすればいいのか、次回からくわしく解説します。
▼▼▼第2回記事▼▼▼
【つづきを読む→】「やっぱり見積もりに納得できない!」搬送後でも葬儀社は替えられる? ポイントは依頼の際「まだ葬儀の依頼までは決定していない」と伝えること
【プロフィール】
赤城啓昭(あかぎ・ひろあき):1級葬祭ディレクター。葬儀業界歴約30年。運営する「考える葬儀屋さんのブログ」は月間45万PVを達成し、ライブドアブログ OF THE YEARを受賞。近著に「子供に迷惑をかけないお葬式の教科書」。テレビ、新聞、雑誌、YouTubeなどでも葬儀現場の正しい情報をわかりやすく発信中。
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