「残り10年」をどう有意義に過ごすか(イメージ)
10年後、果たして夫婦揃って生きているだろうか──人生終盤戦は夫婦どちらかに何が起きてもおかしくない。まだ体が動く最後の10年は、お互いが「その時」に備えられる最後のチャンスだ。夫婦でできる正しい備えを考える。
最初に目を向けたいのはお金のこと
今は夫婦が健在でも、10年後はどうなっているかわからない。自分と配偶者、どちらに万一のことがあってもいいよう準備をするためには、「適切なタイミング」があることを知っておきたい。行政書士の中田多惠子氏が指摘する。
「男性の場合、平均寿命は81.35歳(厚生労働省 令和7年『簡易生命表』)ですが、健康寿命は72.57歳。個人差はあれど、70~75歳は判断能力や体力、健康がしっかり保たれている最後のタイミングです。夫婦でこの先10年をどう生き、どんな最期を迎えたいか。このあたりで逆算して備えを進めることが大切です」
70代前半は夫婦で心配事の多い時期でもある。あと10年、家計は持つのか、この家に住み続けることはできるのか、どちらかが要介護になったら対応できるのか……。差し迫る不安に対して、「夫婦でひとつひとつ整理していくことが大事」と中田氏は言う。
「最初に目を向けたいのは、お金のことです。現役時代は老後に備えて資産を増やすことに目が向きがちですが、残り10年では発想を変える必要がある。
これからの生活費に加え、夫婦どちらかが病気になった時の医療費、介護が必要になった時の費用、住み替えにかかるお金など、残りの人生でどれだけ必要になるのか。その一方で、最終的に家族に何を残すのか。夫婦が元気で判断力があるうちに、財産とこれから必要になるお金を一度整理しておきましょう」
中田氏は、70歳前後になったら預貯金や不動産などの資産を確認し、介護に必要な資金や今後の住まいも含めて棚卸しすることを勧める。
「まずは使っていない銀行口座を整理しましょう。昔作った口座に少額のお金が残ったままになっている人は少なくありません。亡くなった後に何冊もの通帳が見つかり、遺族が解約の手続きだけで数か月を要するケースが多々あります。夫婦が元気なうちに解約して1~2行に集約しておくといいでしょう」
同時に確認したいのが、通帳のない「見えない財産」だ。ネット銀行やネット証券、電子マネー、マイレージやポイントなどは、配偶者が存在を知らないケースもある。これらも一覧にしておけば、夫婦で資産管理が楽になるだけでなく、いずれ家族が相続する際の負担も減らせる。財産の棚卸しとともに財産目録を作り、通帳や有価証券、保険などがどこにどれだけあるのかまとめておきたい。
