管理会社指定の保険会社から乗り換えたいけど…(イラスト/大野文彰)
近年、自然災害の増加などを受けて損害保険の保険料の値上がりが続いている。賃貸マンションを借りる際、管理会社が指定する保険会社の保険料を住人が負担する条件で入居した場合、値上げをそのまま受け入れざるを得ないのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
賃貸マンション在住です。2年に1度支払う部屋の保険料が年々値上がり。詳しい説明もなく、納得できません。言われるがままに支払うしかないのでしょうか。保険会社は、マンションの管理会社指定のものですが、ほかの保険会社に変えることはできますか。(兵庫県・55才女性・派遣社員)
【回答】
マンションの賃借人(借り主)は、不注意で火事や水漏れ事故を起こしたときに、オーナー(貸し主)やマンション内のほかの住人の損害を賠償する責任を負います。そのため賃貸借契約で、賃借人に借家人賠償保険の特約付き火災保険に加入することを条件にし、保険料を賃借人に負担させることがあります。入居時に保険の加入や保険料の負担の必要性について説明を受けて契約していれば、賃借人は保険に入る義務を負います。
オーナーが賃貸事業者で、賃借人が個人の場合には消費者契約になり、消費者契約法が適用されます。同法では契約中に民法などの規定に比べて消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する条項があり、これが信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効になります。
民法では賃貸借契約で賃借人が保険に入る義務はないので、保険に入らなければならないとする条項は民法に比べると義務を加重しています。とはいえ、保険は賃借人に責任がある場合に、オーナーや第三者への賠償責任をカバーしてくれるのですから、保険の加入義務が賃借人の利益を一方的に害するとは言えません。
