ランチにも昼飲みにも最高なメニューがずらり
お酒はいつ飲んでもいいものだが、昼から飲むお酒にはまた格別の味わいがある――。ライター・作家の大竹聡氏が、昼飲みの魅力と醍醐味を綴る連載コラム「昼酒御免!」。連載第30回は、氏の故郷を代表する老舗の魅力を伝えるべく14時前から杯を重ねた。【連載第30回】
昼飲み開始時間には少しの配慮を
飲みたいときがうまいとき。朝でも昼でも、関係なし。飲みたいなと思ったならば躊躇うなかれ、飲み屋の暖簾をわけ入るべし。
ということで、このたびは、10月1日、木曜日の昼下がりに、立川駅北口へとやってまいりました。目指すは「酒亭玉河」。ここは多摩地域を代表する老舗です。
酒亭である。しかし、オープンは午前11時。そう、昼ご飯も食べられる。実際、昼時に行けば、食事ですか飲みますか、と訊かれる。
「あっ、えーと、飲みます」
なんて、ちょっとタメをつくってから答える。なんでだろう。昼めしです、と言っておいて、ビールを飲んだって構わないと思うのだが、訊かれたら、ちゃんと答える。それによって案内される席が変わるということがあると考えている。大衆食堂、大衆酒場、そんな呼び名が似合う場へ行くと、店の人は律儀に訊いてくれるから、私も律儀に答えるのだ。
長っ尻をするつもりはないけれど、飲むとなれば30分ではすまないし、連れがいるときは、飲みながら話もするから、食事目的のおひとり様とは少し離れたほうが気楽でもある。
時間帯も、正午から1時過ぎまでを、うまく避けるようにしている。お昼休みに食事をする人たちの邪魔にならぬ配慮だ。だから、私の昼飲みはたいてい1時半とか2時くらいに始まる。
お昼時は食事のお客さんでカウンターもいっぱいになる
この日も、到着は午後2時前だった。立川駅北口の歩行者デッキで駅前ロータリーを越えてすぐ、地上へ下りる階段がある。下りたところが酒亭玉河の入り口だ。店は地下にあるが、入り口の横にショーケースがあるからわかりやすい。
渋い食品サンプルが陳列されている。上段は刺身、中段は揚げ物や丼物、下段は定食のサンプルが並ぶ。定食の眺めがいい。サバ焼き、とんかつ、焼肉の3種が陳列されているのだが、どれも、丼飯、生玉子、味噌汁がついて860円。なかなかのボリュームだし、これらがいずれもおいしいことを、私は知っている。だから、相変わらず良心的だなあと、サンプルを見ただけで感心してしまうのだ。

