女性が長く働き続けられる葬儀社の共通点
女性に選ばれている葬儀社には、いくつか特徴があります。一点目は、肉体的な負担や長時間労働を減らす仕組みが整っていることです。
まず、自社の葬儀会館を持つことで、女性の肉体的なハンデを軽減しています。自社会館がない場合、寺院や自宅、外部の貸し式場で葬儀をすることになるので、その都度祭壇などの重い備品をトラックに積み、設営・撤去・積み下ろしをしなければなりません。それらが常設されているとなれば、搬入・搬出する回数を減らせます。
また戦略的なシフトを組むことで、労働時間の短縮を図っています。以前この連載でも述べた、業務の分業化もこれに含まれます。ただしこれには、スタッフのマルチタスク化(一人のスタッフが複数の異なる業務をこなせるようにすること)が前提になります。つまり、葬儀の司会や打ち合わせや設営などの役割を振られたとき、どれも問題なくこなせなければいけません。それができる葬儀社は、マニュアル化や標準化、メンター制度(経験豊富な先輩社員が若手の成長を支援する仕組み)など教育・育成のシステムが確立されていることが多いです。
二点目は、長く働き続けられる環境が整っていることです。そもそもこの人手不足の御時世に、男性だけで現場を回すのは不可能です。女性正社員の求人も多く見かけます。しかし研修や育成など、一人前にするための戦略や対策が何もなくただ募集しているところは、採用してもすぐ辞めてしまいます。
一方肉体的負担が少なく、育成システムが優れている葬儀社は、女性スタッフの定着率が高いです。女性に選ばれる葬儀社は、男性正社員にとっても良い葬儀社なので、結果的に男性正社員の定着率も上がります。
定着率が上がると採用や新人育成にかかっていた人的コストが節約できるので、設営スタッフをスポットで外注したり、夜勤の専属スタッフを雇ったりすることができます。女性の正社員比率が増えたとしても、前編で述べた力仕事や夜勤の仕事は維持できるのです。
さらに組織が成長し、社内に墓石仏壇の販売部門やコールセンターなどといった部署ができてくると、キャリアパス(社内で選べる職種や昇進の道筋)が広がります。人が亡くなるという突発的な出来事の影響を受けにくい管理職ポストも、これに含まれます。
産休や育休後、復帰できる部署が葬儀の現場しかないと、予定の立てづらさと労働時間の長さが障害となって、職場復帰を断念しがちです。一方キャリアパスが広がると、勤務条件や希望に応じて現場・内勤を選び直せるので、職場復帰がしやすいのです。子育て中は勤務時間が比較的安定している部署に在籍し、育児が一段落したら葬儀の現場に戻るといった柔軟な働き方ができれば、仕事を続けやすくなります。