大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

日本の競争力を高めるために「AI人材」をどう育成するか

 実は私の次男も子供の頃から自分でプログラミングの家庭教師を見つけてきて、あっという間に身につけてしまった。現在はゲームアプリ開発用ミドルウェアを提供しているユニティ・テクノロジーズの日本担当ディレクターだが、20歳そこそこの時に世界的コンピューター企業が手に負えない業務を自宅で受託し、月200万円稼いでいた。それと同じようなことが、今や世界では当たり前になっているのだ。

 日本は音楽やスポーツの分野では、バイオリンの樫本大進氏、テニスの錦織圭選手、野球の大谷翔平選手、バスケットボールの八村塁選手ら世界で通用する才能の持ち主を輩出している。とくに音楽の場合はスズキ・メソードとヤマハ音楽教室が人材育成に大きく貢献し、そこから先は個別指導で大きく羽ばたいている。AI人材の育成も、日本が本気で取り組めば、さほど難しくないはずだ。

 しかし、それは今の文部科学省がやっている旧態依然の学校教育システムでは無理だ。私は本連載(第628回)で、もう文科省には期待できないから若手官僚が文科省の中にゼロベースで「アンチ文科省」を作り、新学府を創設せよと提言したが、そこで目指すべきは、まさに「42」や「ユダシティ」のような学校なのである。

※週刊ポスト2019年7月19・26日号

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