田代尚機のチャイナ・リサーチ

「世界の売上高トップ500」で米国超えを果たした中国企業の実力

世界売上高2位に入った中国石油化工のターミナル(Getty Images)

 中国政府の発表する経済統計に関して、その数値に疑問を呈するエコノミストは少なくない。地方政府の発表する名目GDPの合計が国家全体のGDPを大きく上回っている、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行貸出純増額などの伸びと比べて、名目成長率の動きが強すぎる、実質成長率のばらつきが小さすぎる……など、様々な面から指摘を受けている。

 もっとも、経済統計に対する信頼性が揺らいでいるのは中国だけではない。日本では今年に入って、勤労統計の調査方法に関して不正が発覚している。アメリカでは以前から雇用統計や、実質値の正確性について疑問を呈する研究者がいる。

 私たちが知りたいのは、各国の経済規模やその動向についてであり、GDPが正確でなければ、ほかのデータで補完することもできよう。例えば、企業の売上高は、経済統計にみられるような複雑な計算とは無縁である。売上高の算出は税務の基礎となることもあり、企業ガバナンスがしっかりしている大企業に関して言えば、粉飾は難しい。こうした比較的信頼のおけるデータである売上高を使ってみても、中国の経済規模は十分大きく、また、全体として拡大しているようだ。

 アメリカ・フォーブス誌は7月22日、毎年恒例の「FORTUNE GLOBAL500」を発表した。これは直近ベースの売上高で世界の企業をランキングしたものであるが、これによると、上位500にランクされた企業数において、今回始めて中国企業がアメリカ企業を上回った。中国は129社で、アメリカの121社となっている。上位100以内を見ると、中国石油化工(2位)、中国石油天然ガス集団(4位)、国家電網(5位)、中国建築工程総公司(21位)をはじめ中国企業23社がランクされている。

 ちなみに、上位500に入っている日本企業は52社で、100位以内では、トヨタ自動車(10位)、三菱商事(33位)ホンダ(34位)、日本郵政(52位)、NTT(64位)など8社がランクされている。これをみると、一般的なイメージ以上に、日中の企業格差は広がっていることがわかる。

 また、上位500の中で韓国企業は16社に留まっている。100位以内では、サムスン電子(15位)、SKホールディングス(73位)、現代自動車(94位)の3社のみで、200位以内でもポスコ、LG電子、韓国電力の3社が加わるだけである。企業層の薄さがはっきりと表れている。

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