中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「お通し不要論者」の私が鰻専門店のサービス料には理解を示すワケ

鰻はやっぱり「特別」なもの?

 シラスウナギの不漁から鰻の価格が高騰している。いまや庶民にとっては高嶺の花である鰻重・鰻丼だが、鰻専門店の中には、お酒を頼んだ時の「お通し代」ばかりか、5%や10%の「サービス料」を取るところもある。普段は「お通し・突き出し不要論」を主張する呑兵衛編集者の中川淳一郎氏は、鰻専門店の「サービス料・お通し・突き出し」には理解を示すという。その理由について、中川氏が解説する。

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 自分が子供の頃、鰻重は1500円とか1800円でした。10年前も2000円台の鰻重は多かったですが、今や3000円台だと安く、4000~5000円台が多くなっています。スーパーでは極稀に990円の鰻があったりはするものの、中国産であっても1匹1380円~1580円、国産であれば1980円以上するものです。2580円のものもあったりします。

 ですから、鰻の高騰については日々実感しているわけで、時々「ご馳走を食べたい」時に行く鰻の店では総額についてはあまり気にしないようにしています。私にとって料理のベスト5は以下です。

5位:本当にウマい豚しゃぶ
4位:麻婆豆腐witナス
3位:メゴチの天ぷら
2位:サンマの塩焼き
1位:鰻重

 それだけ鰻は特別で、鰻屋に行く時はまずは「肝串」を食べながらビールを楽しみ、50分後ぐらいにふっくらとした鰻重が来るのを待つ。関東風の蒸した鰻の蒲焼が好きですが、鰻重を食べている時は一口ごとに「あぁ、世の中にこんなにウマいものがあったのか」と思うとともに、上下に並んだ「尻尾の方」「腹の方」を交互に食べながら「今、オレは幸せな時間を過ごしている」と毎度感じ入るのです。

 そして、鰻の長さがあと4cmとなったところで「これを1口で食べるのはもったいないよな」とばかりに2口に分けて食べるのですが、終わった後には「これでしばらく鰻は食べられない……」という寂寥感が襲ってきます。

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