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キャリア

60歳以降は働いても「下流」が「上流」に逆転できない残酷な現実

60代を過ぎると「資産格差」の逆転はほぼ不可能に

60代を過ぎると「資産格差」の逆転はほぼ不可能に(イメージ)

「75歳まで働けば老後は安心」。政府が「働き方改革」で掲げるスローガンだ。厚労省もそれに合わせて年金改革で現在70歳の繰り下げ受給の年齢上限を75歳まで延長し、「75歳受給」を選択すれば年金額を約2倍(1.84倍)に割り増しする方針だ。

 夫婦の年金合計額が月22万円(65歳受給)の場合、夫婦ともに75歳まで繰り下げると年金額は約40万5000円に割り増しされる計算になる。

 そうすると95歳までの年金総額は65歳受給を選ぶよりざっと1800万円多くなり、75歳まで働いて年金を我慢すれば、老後資金不足をカバーできるという“願ってもない”話に思える。

 しかし、コトはそう単純ではない。カルチャースタディーズ研究所代表で、『下流社会』『下流老人と幸福老人』の著者・三浦展氏は、最新の調査をもとに、65歳以上の金融資産500万円未満の“下流老人”と金融資産2000万円以上の“上流老人”、その中間の“中流老人”に分けてライフスタイルや資産の変化を分析した上で、こう断言する。

「定年退職以降に資産を増やせるのは、不動産収入や有価証券などを持つ一部の富裕層だけでしょう。60代で資産格差はほとんど固定されてしまうのです」

 60代になってからの「資産格差」の解消や逆転はほぼ不可能という指摘だ。大きな理由は、金融資産2000万円以上の層は不動産の賃貸収入や株などの運用で資産を増やしているケースが多いが、資産500万円未満の層は運用する原資が乏しいからだ。

 三浦氏の調査では、65歳以上で資産が500万円未満の層では、マンションや駐車場など投資用の資産を持っているのはわずか3%しかいなかった。

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