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自然災害が激増の時代 賠償責任と範囲はどこまでか?

 隣家との人間関係の悪化を案じていたオーナーは、むしろ賠償責任を負うことを望んでいたという。損害保険に詳しいファイナンシャルプランナーの清水香さんが解説する。

「平成30年台風21号で損保会社から支払われた保険金の総額は1兆678億円にのぼり、過去最高を記録しました」(清水さん)

 しかし同台風では、被災世帯の9割以上が一部損壊。「被災者生活再建支援制度」による公的支援金を受けられた世帯はなかったという。もし支援金を受けられたとしても、その金額は最大300万円程度(全壊時)で、自力での修繕が基本とされる。適切な火災保険に加入しているかどうかで、その後の暮らしは大きく変わる。

 災害リスク評価研究所の災害リスクアドバイザー・松島康生さんは、ここ最近は地球温暖化などの影響で自然災害が激増していると語る。

「平成初期までは、命にかかわるような水災・風災は少なかった。しかし、阪神・淡路大震災以降、東日本大震災も含め、非常に多くの大規模な天災が日本を襲うようになっています。北海道地震の大停電など、予想不可能な二次災害が起きる。あらゆるリスクが高い時代といえます」(松島さん・以下同)

 他人の所有物が原因で家や財産を失っても“天災は予測不可能”という理由で責任が問われなくなるとは、なんとも理不尽に感じる。

「埼玉県で起きた衣料品量販店が火元となる火災で、隣接する老舗呉服店に延焼し、全焼させてしまったという事案があります。量販店は上場企業でしたが、過失が認められなかったため賠償責任は問われず。仕事も家も失った呉服店への謝罪は、菓子折り1つだったそうです」

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