田代尚機のチャイナ・リサーチ

日本の農村に中国政府が強い関心、自然・行事も観光資源に

 日中両国は農業経営の構造や文化の背景が比較的似ている上に、中国の農村でも最近は、環境汚染、人口減少、老齢化が深刻となっている。彼らは、日本の経験が中国でも生かせると考えているようだ。

 日本の地方政府は、資本の効率性やコスト削減の意識が強い。中国の農村も財政予算は少なく、資金は限られる。日本の一村一品運動であるとか、特色あるイベントの開催、積極的にSNSを活用したり、低価格を維持しながらも特色のあるサービスを提供しようとしたりしている民宿、小規模農業加工業者、水産加工業者、土産物加工業者の活動状況などに注目している。

 名所旧跡巡りや買い物だけが観光ではない。中国人の間では、花見(桜)、温泉、北海道のスキーなどの人気が高いが、蛍狩り、紅葉狩りなどの自然観察であったり、鵜飼い、各地の奇祭などの風俗行事の参観であったり、彼らが興味を持つとみられる観光資源は日本には豊富に存在する。

 国連世界観光機関が発表した外国人観光客数ランキング(2017年)では、フランス、スペイン、アメリカ、中国、イタリアがベスト5であり、日本は、タイやオーストラリアより下位の12位である。

 日本の農村には潜在的な観光資源が眠っており、一方で、隣国中国には巨大な海外旅行需要が発生している。日本の地方政府、地方事業者は、これをもっと生かす努力をすべきではないだろうか。中国の郷村振興戦略が進んでしまうまでの間が、大きなチャンスとなるだろう。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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