そうであっても、やはり問題になるのは、遺言者が自分の意思で自書した遺言かということ。その意味で、お父さんが遺言書を自書している状態の動画は、有力な証拠になります。むろん、ご本人の意思で書いていることがわかるような動画でないと無駄になります。また、横から他の人が口を出したり、他人が書いた原稿を示したりする状態が記録されれば、疑われる要素になります。
ご質問の例に限らず、証拠を残すために状況を動画に撮り、裁判所などに証拠として提出することがあります。その場合には、撮影年月日・場所・撮影者を記録するだけでなく、例えばテレビのニュース画面などの映像を写り込ませ、撮影日の裏付けにするのもよいと思います。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2020年2月7日号