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「欲しい物を何でも買ってもらえた子」が歩んだ予想外の人生

同級生が街でばったり出会ったところ…

 しかしそんなKさんの前に大きな壁が立ちはだかる。両親がKさんをとことん甘やかしたのは、Kさんが跡継ぎになることが前提だ。親がいくら裕福だといっても、お金だけで医者になることはできない。小中高を通じて学校でも最底辺の成績だったKさんは当然のごとく浪人したが、その後の消息を知る人は少なかった。ただ、ときどき風に聞こえてくる噂は以下のようなものだった。

・高そうなスポーツカーに乗っているのを見た
・実家が都心にあるのに、渋谷に一人暮らししているらしい
・カー用品店で派手な車が入ってきたと思ったらKの車だった

 親をどうやって言いくるめたのかは不明だが、車にどっぷりハマり、どうやら“走り屋”になっていたようだ。その後、同級生が集まると、「やっぱり医者になったのかな?」「絶対ムリだろ」といった会話が交わされたが、十数年後に唐突にKさんの消息が判明する。

「同級生が街を歩いていて、ばったりKと会ったんです。Kは見たこともないような高級外車に乗っていて、話を聞くと会社を経営しているとのこと。名刺に書かれた会社のHPを見ると、海外から車のパーツを輸入しているようです。同級生が『(会社を作る)金は親に出してもらったの?』と聞くと、Kは『親にはもう何年も会っていない』と吐き捨てたそうで、どうやら自力で立ち上げたビジネスで成功したようです」

 Kさんの親からしてみれば、息子にとことん金をつぎ込んだ挙げ句、裏切られた形かもしれないが、視点を変えれば、息子が望むものはすべて与え、息子は自分が好きなことで身を立てたのだから、結果的に子育てが成功したとも言える。好き勝手に自分の好きなことをやってきたKさんだが、とことんのめり込めば咲く花もあるということかもしれない。ただ、学生時代のKさんを知る同級生たちは、口を揃えて「英検4級しか持っていないKが、どうして海外とビジネスできたのか?」と、不思議がっているそうだ。

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