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新型コロナ蔓延、広告業界の苦悩に見る日本経済へのダメージ

 だからこそ広告会社は担当するクライアントの記者会見をどのような形で行うか腐心し、事前にメディアに対して競合他社の会見がどんな形で行われるかを問い合わせたりしている。前出の営業担当はこう語る。

「私のクライアントの記者会見前日に同業他社が記者会見をやることになっていました。彼らが無観客でやるという情報をその前日に得られたため、我々もそれにならうことに決めました。それが決まったら急いで『ライブ配信を行う』という方針をメディア各社に伝えました」

 こうなるとせっかく借りていた広い会場費用の面でロスが発生する。とにかく3月は発表会やイベントが盛りだくさんのため、広告会社のみならずともそのクライアント企業も大打撃をくらうこととなる。

 広告業界のドル箱は「新生活キャンペーン」で、3~4月の消費をいかに活性化させるかを考えたうえで年間のマーケティングプランを考えている。それが今回のコロナ騒動により完全に目論見が狂った形となり、新年度のスタートダッシュを切れなくなってしまったのである。となれば当然、年内計画も見直しせざるを得ず、すべての計画の変更を余儀なくされる。

 また、「春需要」を扱うものも大打撃を受けている。例えば、花粉症関連のアイテムにまつわる広告だ。通常、花粉症対策の企画は前年の12月には開始するもの。花粉の量が多くなる2~4月に合わせて販売強化を目論むわけだが、今はコロナ対策が最重要視されているだけに花粉症の危険性を訴えても軽視されがちだ。花粉症関連グッズのプランニングを昨年12月に開始したプランナーはこう嘆く。

「『これは話題になるはず!』という企画を年内は社内で揉み、年明け早々にクライアントに提出したのですが、その直後にコロナの件が取り沙汰されました。クライアントは『こんな時期に花粉症対策を訴えてもしょうがないですよね……』と諦めムードで、元々考えていた企画はおじゃんです。本当はコロナが蔓延しているからこそ、くしゃみによる飛沫感染や、目や鼻をこすった時の接触感染の防止のために、重点的な花粉症対策が必要なのですが……」

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