田代尚機のチャイナ・リサーチ

コロナ感染鈍化の中国、いち早く打ち出す景気対策の数々

【11】低リスクの人に対する隔離措置を緩和する
 低リスクの地域から戻ってきた人に対しては、過去に発症、あるいは疑似発症していない限り、健康証明を持ってさえいれば、集中隔離、自宅での監禁措置は行わない。

【12】精緻に標準化された防疫・コントロール措置の実施を推し進める
 二次元バーコードによる全面的な健康情報管理を進める。市民が政府庁舎、ショッピングセンター、スーパーマーケット、ホテル、病院、銀行など公共の場において、自発的に二次元バーコードシステムによる入場登録をすることで、担当者がしっかりと防疫・コントロール業務を行うことができるように協力する。

 中央主導の国家予算を使っての対策は、実際に決定、実施されて、効果が出るまでに時間がかかる。小回りが利かず、公平に、効率よく行うことが難しいといった弱点もある。そういう点では、地方政府によるこうした対策は、細々としたものが多いかもしれないが、即効性はあるだろう。

 日本でも、インバウンド消費の急減、外出の自粛、世界貿易の縮小などから、既に地方経済は大きな打撃を受けているはずだ。コロナショックを封じ込めることさえできれば、すぐに経済対策を打ち出すことができるはずだ。所得補償も無駄ではないだろうが、やはり、需要の拡大が急務である。商業施設の営業時間延長、夜間消費の促進や、域内旅行、農業体験活動の後押し、結婚需要の拡大など、中国のこうした泥臭い対策は日本の地方自治体にとっても、一つの参考になりそうだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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