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これは年金75歳支給の布石 厚労省がひた隠す年金改正法案の狙い

 まだある。安倍政権と厚労省が一番隠しておきたいのが、年金の運用失敗だろう。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はリスク運用で株への投資をそれまでの2倍に増やし、運用資金のざっと半分を国内と海外の株に注ぎ込んだが、そこに世界的大暴落が起きて18兆円もの巨額の損失を被った。昨年の株価上昇による利益をすべて吐き出したうえ、昨年度(今年3月期)の運用実績は8兆円を超える赤字になったと試算されている。政府の運用方針変更が完全に裏目に出たわけだが、その後も、暴落した株の買い支えに年金資金が投じられているとされる。

 自粛に耐えてきた国民に知られれば怒りが爆発しかねない問題だ。こうした問題は本来、年金制度改正案とセットで議論し、国会で追及されるべき内容だが、与野党とも国民に隠したまま法案を衆院通過させた。

【プロフィール】北村庄吾(きたむら・しょうご)/1961年生まれ、熊本県出身。中央大学卒業。社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー。ブレイン社会保険労務士法人 代表社員。コロナ倒産を防ぎ、社員の雇用を守るための『「雇用調整助成金」完全申請マニュアル』が発売中(http://koyoujoseikin.jp/)。

※週刊ポスト2020年6月5日号

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