田代尚機のチャイナ・リサーチ

金価格がさらに急騰 ドルで資産を持つことは危険なのか?

未曾有の景気悪化が進めば為替はドル安に傾く

 7月30日に発表された4-6月期のアメリカ実質GDP成長率は前期比年率換算で32.9%減であった。1-3月期の5%減から大幅に悪化しており、1947年の統計を取り始めた以降で最大の落ち込みとなった。まさに、前代未聞の不況である。

 これだけ景気が悪いのだから税収は大幅に減ることになり、その一方で予算管理や景気対策のため、支出を減らすことはできない。構造的に財政収支の赤字が深刻な中で今後、不足資金を手当てするために、国債発行を増やさざるを得ない。

 さらに、未曽有の景気悪化は金融市場を直撃する。企業の資金繰りを支えるため、あるいは金融市場を安定させるため、大量の資金流動性を金融市場に供給しなければならない。超金融緩和によってドルの供給が増えれば、為替レートはドル安に傾く。

 ドル安はドル資産の目減りを意味する。それを防ぐためには、為替をヘッジするか、資産ポートフォリオを見直すかしなければならないが、市場関係者の一部では、現在起きている金価格の急騰は後者が要因なのではないかと考えている。

 景気悪化の根本的な原因は、言うまでもなく新型コロナウイルスのパンデミックであるが、この先、そう簡単にパンデミックが収束しないのであれば、財政赤字はさらに拡大し、金融緩和は長期化、為替もドル安傾向が続くだろう。ドル安傾向が続けば、輸入価格の高騰に端を発したインフレが発生し、そのインフレが原因でドル安がさらに進む。

 もし本当にそうなるのであれば、ドルで資産を持つことは危険だ。世界の金融システムは、アメリカ国債を安全資産の頂点として形成されており、その秩序が維持されている。そのアメリカ国債の安全性神話が崩れれば、つまり、アメリカ国債利回りが急騰すれば、世界の金融秩序が壊れてしまうことにもなりかねない。

 ただ、現状ではそうはなっていない。アメリカ国債(10年)は超金融緩和の効果があって、逆に歴史的な低水準に維持されている。もっとも、主要な投資家は売っているのだが、FRB(連邦準備制度理事会)だけが買っているとしたらどうだろう。

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