キャリア

フリーWi-Fiを探して… オンライン講義で苦労する貧困学生のリアル

「関西の別の県から大阪に来て一人暮らしをしている、下宿組の2回生です。パソコンは持っておらず、家にWi-Fiの設備もありません。友達に言っても信じてもらえないのですが、今のアパートにはエアコンもついていないんです。コロナでバイト先の飲食店からも『ちょっとの間、シフト入れられないから我慢して』と言われたまま、連絡がありません。

 4月からオンライン講義が始まると聞いた時は、とにかく戸惑いましたね。大学からパソコンを貸与してもらえるサービスがあったようなのですが、その連絡メールすらスマホに転送できていなくて、知ったのは7月の終わり頃でした。緊急事態宣言中は大学キャンパスも立ち入り禁止でしたし、近所の空いているカフェを探し歩いて、そこのフリーWi-Fiに接続しながらスマホでオンライン講義を受講していた感じです。コーヒー1杯の料金で、後は水を飲んで居座っていました。ギガを消費したくないので、絶対にフリーWi-Fiがないと講義は受けられないです」(Aさん・以下同)

「スマホで受講している学生がいることを前提にしてほしい」

 テクノカットと呼ばれるヘアスタイルにストリート系のファッションで現れたAさんは、イマドキのおしゃれに敏感な大学生という印象で、見かけだけではこうした苦労の様子は一切感じ取れない。

「自分も含めて、見た目からでは学生の『暮らしぶり』は判断できないと思います。服はファストファッションで安く手に入るし、音楽もYouTubeなどで無料で聴ける。友達との会話で格差を感じることはあまりないですね。

 ただ、そもそも実家には金銭面で頼れない状況ですし、コロナ禍で『年寄りもいるから帰ってくるな』と言われています。奨学金を借りていることもあり、どうしても卒業して『大卒』にならないと、進学した意味がないので、とにかく卒業を目標としています」

 もっとも、オンライン講義より対面講義の方がありがたいかというと、一概にそうとは言い切れないようだ。

「対面講義が始まって喜んでいる学生もいますけど、僕自身は交通費がかかるし、交際費用もそれなりにかかるので、正直、金銭的にはキツい状況になりました。近所の喫茶店でオンライン講義を受ければ250円くらいで1日過ごせますが、登校すると往復で800円はかかるので苦しいです」

 そんなAさんに、大学生活でいま一番困っていることは何か、聞いた。

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