ライフ

「ご祝儀のキャッシュレス化」は歓迎すべき? 当事者たちの賛否それぞれ

 そんなBさんが何気なく「食事会に行きたくない」と友人にぼやいたところ、まるでご祝儀を払いたくない人のように思われてしまったことに、異議を唱える。

「ご祝儀をケチっているわけではないんですよ。むしろ、お金を払うだけなら喜んで払います。話をする席が苦痛なんです。距離が近いだけで強制参加を求められるのは、本当に面倒。ご祝儀はきれいなお金をご祝儀袋に入れて渡すという慣習もムダだと思います。振り込み制を当たり前にしてほしい」(Bさん)

支払いが「義務化」される懸念も

 そうした声がある一方で、「振り込み制だと困る」という人もいる。やはり親戚に会いたくない派ではあるが、別の事情があるようだ。

IT企業に契約社員として勤める30代の男性・Cさんは、実家から電車で2時間程度のところに住んでいる。自身は未婚で兄夫婦には2人子どもがいる。Cさんは、振り込み制に移行することで起こる「支払い義務化」を懸念する。

「振り込み制だと、お年玉、入学祝いなど、節目節目に絶対に払わなくちゃならなくなりますよね。現金だと、会った時だけあげるという言い訳が成立する気がする。

 僕は、気まぐれにお小遣いをあげるような性格なので、前回どういうタイミングでいくらあげたかとか、いちいち覚えていないんですよね……。いちど、『前は○○円くれたのに、今回は少ないね』と言われたことがあって、面倒くさくて、もう1円もあげたくなくなりました(笑)。

 以来、年末年始やお盆などは仕事の予定を入れたり、旅行に行ったりして、甥姪に会うことから逃げ回ってきました。昨年は新型コロナで、うまいこと会わなくていい理由ができたものです。だいたい、僕だってお小遣いをほしいくらいの収入しかないなのに、ご祝儀とかあげる余裕はないですよ。仮に僕が結婚してもご祝儀は一切いらないので、もうこういったお金のやりとりの慣習そのものが廃止されてほしい」(Cさん)

 新型コロナで「脱・現金手渡し」に追い風が吹きつつあるが、ご祝儀キャッシュレス化の流れには、複雑な思いを抱いている人もいるようだ。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。