菩提寺への挨拶も業者に任せてしまう
「まず相談者(子供)にヒアリングし、親とどの程度の距離感にしたいのかを確認します。多いのが、“病気やケガ、死亡時など何かあった時の連絡”を希望するパターンと、“一切連絡を取らず、死後もすべて丸投げ”のパターン。いずれも、われわれが親子間の連絡係となります」(遠藤氏)
後者のパターンでは、病院や介護施設の手配から入院・入所後の手伝い(月に1度の施設訪問など)、死後の葬儀や納骨、遺品整理まで全て代行する。親がどこでどう暮らしているかを含め、子供が知りたがらない限り、一切連絡はしないという。
「費用については、82歳で余命5年の場合を想定すると、初期登録料のほか介護や葬儀、相続関連など各種代行料が33万円、毎月1回の定期サポートサービス(施設訪問など)が5年分として計66万円かかります。概ね100万円程度が目安になります」(同前)
葬儀代などは別途親の資産から出すことになるため、親の生命保険金を充てるかどうかなど細かく話し合い、予算の手当てをしておくのだという。
「揉めがちな相続や葬儀費用の交渉で親族を訪ね、『お前は誰だ』と怒鳴られたり、亡くなった後、納骨時に菩提寺の住職から『なんで子供が来ないんだ』と説教されたこともあります」(同前)
LMNの手配で施設に入所した親から、「うちの子供から連絡はないの?」と聞かれることも。
「『仕事が忙しいみたいですよ』とごまかす心苦しさはありますが、依頼主の事情を考えると、仕方ないと思います」
遠藤氏がそう述懐する、親を“捨てる”子供の事情とは何か――。