家計

コロナ苦境の飲食店に資金援助したものの廃業 お金は返してもらえるか?

店の存続を期待して出資したのに…(イラスト/大野文彰)

店の存続を期待して出資したのに…(イラスト/大野文彰)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、深刻な打撃を受けた外食業界。休業・廃業を余儀なくされる飲食店も多く見られたが、行きつけの店がそんな状況に追い込まれれば、助けたくなるのが心情だ。しかし、その親切心が思わぬ形で返ってきたら──。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 コロナ禍の緊急事態宣言の影響で行きつけの飲食店が休業していたときに、店主から「店を続けるために資金援助をして」と頼まれ、1万円を渡して領収書ももらいました。ところが最近になって、その店は完全に廃業してしまいました。私は店の存続を期待して出資したので、廃業するなら返金してほしいと思っています。お金は返してもらうことはできますか。(東京都・61才・会社員)

【回答】
 お金を返してもらうためには、「返せ」と要求できる権利を証明しなければなりません。そのためには、【1】お金を渡した事実だけでなく、【2】渡したお金が返すべきものであったことの証明が必要です。

【1】のお金を渡したことは、領収書があるので証明は容易です。そしてお金を渡した以上、返すのが当然ですから、【2】は返す約束がなかったことが問題になります。具体的には、受け取った方が、もらったお金だとか品物の代金などと借金でないことを証明する必要があります。

 この点で気になるのは、コロナ休業時の資金援助として渡したことです。「店を続けるための資金援助」とは微妙な表現です。困った人を助けるために献金することがありますが、それは寄付であり、返してもらうつもりがないのが普通です。実際、善意で渡した支援金の返還を求めることはありません。資金援助を重視すると寄付と解され、あなたの方に返す約束だったと納得させる材料が必要になりそうにも思います。

「店を続けるため」を重視すれば、事業継続が条件(言い換えれば、継続しない場合は返すという条件)で資金援助をしたから、店を廃業した以上、返すべきとの反論も考えられます。しかし、条件にすることのはっきりした合意が必要です。

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