吉田みく「誰にだって言い分があります」

「仕事が暇になると怖い…」空白恐怖症の人たちが抱える悩みと脱却への苦闘

予定が埋まらないと不安になる人がいる(イメージ)

予定が埋まらないと不安になる人がいる(イメージ)

〈【空白恐怖症】スケジュール帳に空白が多く、予定が記入されていない状態に不安を感じること。そういう気持ちになることを病気症状になぞらえた言葉〉(『デジタル大辞泉』より)──最近耳にする機会が増えたこの言葉。自身が今まさにその状態であると語る20代女性と30代男性に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。

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 予定が埋まっておらず、何もすることがない状態に不安を感じる。予定が何もないのに、ダミーやフェイクの予定を入れてしまう──そんな状態を指す言葉として話題の「空白恐怖症」。だが、これは正式な病名ではなく、「大辞泉が選ぶ新語大賞2018」で大賞にも選ばれた新語である。SNSで他人の充実した姿を見たり、だらけることを良しとしない考えを持つ人などが陥りやすいようだ。

 千葉県在住の飲食店アルバイト、アスカさん(仮名・29歳)は、スケジュール帳が埋まっていないと不安で仕方がない性格であることを話してくれた。

「自分の好きなことを自由に楽しむために、働き方の融通が利くアルバイトの道を選びました。20代半ばまでは毎日予定があって充実していましたが、コロナの影響もあり最近は空白だらけの日々。予定のない日は何をしたらいいか分からず、ネガティブな気持ちになることが多いです」(アスカさん)

 以前は学生時代の友人たちと遊ぶことが多かったものの、その友人たちは続々と結婚。最近では出産した友人も増えてきており、アスカさんはSNSを見るのが辛いそうだ。

「『結婚しても変わらない付き合いしていこうね!』と誓い合った友人でさえ、家庭を守ることを優先するようになりました。置いてけぼりにされた気分になったのが本音です。私もこの現状を変えようと努力しましたが、思うようにいかず悩んでいます……」(同前)

 アスカさんは正社員として働ける環境に身を置きたいと努力したこともあったそうだ。しかしコロナ禍で思うような求人が見つからなかったり、特定のキャリアを積んでこなかったことなども影響して、転職活動は難航しているという。

「最近は婚活に力を入れています。出会いの場はマッチングアプリやパーティーです。予定は埋まるし、運命の人に出会えるかもしれない。寂しい気持ちも紛らわせるのも良いです。ですが、別の悩みも出てきました」(同前)

 男性とデートをする際は割り勘が多いと話すアスカさん。ランチであっても1回1000円程度はかかってしまう。それに加え、交通費や洋服代などもかかるという。婚活の成功とスケジュールを埋めるためにも、今後はアルバイトの掛け持ちを考えているそうだ。

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