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トヨタのEV参入 強みは「夢の全固体電池」と「専用プラットフォーム」

昨年12月、トヨタは一挙に16車種のEVを公開した(時事通信フォト)

昨年12月、トヨタは一挙に16車種のEVを公開した(時事通信フォト)

 世界首位のトヨタ自動車が昨年12月、16車種のEVを同時発表し、生産設備や開発に4兆円を投じて2030年に世界で350万台のEVを販売するとぶち上げた。ハイブリッド車で世界を席巻し、水素自動車に力を入れる半面、EVには消極的と見られていた“ガリバー”の本格参入宣言にEV開発で先行する各社は驚き、“トヨタショック”と呼ばれた。

 モータリゼーションに革新をもたらすとされるEVはいまや世界で最も競争が激しい分野だ。その中でトヨタのEV開発の強みの第一は、コア技術といわれる「全固体電池」の開発だ。経済ジャーナリスト・福田俊之氏が語る。

「全固体電池は航続距離を延ばし、充電時間を短縮してEVの競争力を飛躍的に高めると期待されている“夢の電池”です。トヨタはこの全固体電池の関連特許の出願数で世界でもトップクラスとされ、2020年代前半の実用化を目指して最初はハイブリッド向けに投入する方針です。それを昨年秋に発表して世界を驚かせました」

 EV普及のネックになっているのは、電池の値段が原価の3~4割を占めるため車の価格が高額な点だ。そこでトヨタは1台あたりの電池のコストも2030年までに50%減らす方針だ。そうした「カイゼン」はお家芸だ。

 経済ジャーナリストの片山修氏は、EVで勝ち残るには電池に加えてプラットフォーム(車体の骨格部分)の重要さを挙げる。

「いくらいい電池を載せても、プラットフォームがしっかりしていなければEVならではの加速など走りの味は出ない。そこでトヨタは設計思想をしっかりまとめEV専用プラットフォームを作り、スバルと共同開発した初の量産EV『bZ4X』で採用した。EV専用プラットフォームは今後、日本の自動車メーカーの共同“チーム・ジャパン”の基本になっていくだろう」

 EVの走りを追求するトヨタが狙っているのは首位のテスラが鎮座する高級EV市場だと見る。

「トヨタは35年にレクサスの世界販売すべてをEVにすることを目指している。間違いなくテスラを意識している。強みを活かせば十分勝ち目はあります」(片山氏)

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