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「寿司ネタファースト」を貫く業界トップのスシロー CMにタレント使わず

広告宣伝からわかるスシローの経営哲学とは(時事通信フォト)

広告宣伝からわかるスシローの経営哲学とは(時事通信フォト)

 コロナ禍で外食産業が大打撃を受けるなか、国内外で躍進を続けるのが回転寿司チェーンのスシローだ。独走状態を生んだ経営理念から世界進出の展望まで、スシローを中心とした複数の外食事業会社を傘下に持つ、FOOD & LIFE COMPANIES(以下F&LC)の水留浩一(みずとめ・こういち)CEOが明かした。(全3回の第2回。第1回を読む)

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 スシローの強みは「データ主義」にも支えられている。回転レーンで流れる寿司皿の中でどのネタがどの時間帯に多く売れるかなどの具体的なデータを素早く、正確に収集する。水留氏が語る。

「その分析によって廃棄ロスなどのコストを削減でき、売れ筋ネタの見極めもいち早くできます。そうしてコストを削った分を寿司ネタの向上に回すのです」

 スシローの経営哲学の根底にあるのは、創業以来変わらない“寿司ネタファースト”とでも言うべき哲学だというが、この考えは、ライバルと比較した広告宣伝にもよく表われている。

 たとえばくら寿司では、テレビCMに有名タレントを起用しているが、スシローは一貫して寿司ネタのみのCMを流してコストを抑える一方で、頻繁に販促キャンペーンを打つ。

 また、サイドメニューの展開でも“寿司ネタファースト”の哲学を徹底する。人気の高い「コク旨まぐろ醤油ラーメン」を例に取れば、魚の骨やアラ、頭といった、廃棄されてしまいがちな部位からエキスを抽出してスープを取っている。

 カレーや牛丼など、寿司の製造過程と無関係のサイドメニューを豊富に用意する他チェーンとは一線を画す考えだ。

「回転寿司ごとにブランドの個性がありますからね。我々は、サイドメニューであれ何であれ、寿司というキーワードから離れない戦い方、商品の見せ方をしていく点は今後も変えません」(水留氏、以下同)

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