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鍵穴トラブルで業者から高額請求 「ネット検索で上位だった」の落とし穴

ネット広告・検索上位と業者の信頼性は無関係

警察庁が対策を呼びかけた、ピッキング被害に遭いやすいドアの錠。特殊な工具で鍵穴を使わず簡単にロックを解除ができるという(時事通信フォト)

警察庁が対策を呼びかけた、ピッキング被害に遭いやすいドアの錠。特殊な工具で鍵穴を使わず簡単にロックを解除ができるという(時事通信フォト)

 国民生活センターによると、解錠だけでなく、水回り修理、害虫駆除などの日常生活でのトラブルを事業者が対処する「暮らしのレスキューサービス」で、高額請求を受けた相談事例が増加しているという。中でも、そのきっかけとして、急速に存在感が大きくなっているのがインターネット広告だ。

 2020年度に寄せられた相談件数は5882件で、2016年度(2437件)の約2.4倍。インターネット広告が関わる割合も年々右肩上がりで増加しており、2016年度は19.2%だったが、2020年度には41.1%に達した。2021年8月末までの割合はすでに48.1%で、5割を超える勢いだ。

 日常生活に欠かせないインターネットだが、先のMさんのように、そこで見つけた業者から納得のいかない請求をされるケースもある。そうしたリスクを避けるためには、正しい知識を得て、その危険性を理解する必要がある。

 ITジャーナリストの三上洋さんに話を聞いたところ、「広告掲載と信頼性はまったく関係ない」と指摘する。

「Google検索では、ページ上部と下部には、数社の広告枠が表示されます。これはユーザーが検索したキーワードに連動して表示される、『リスティング広告』と呼ばれるもの。例えば、『鍵開け』『インキーロック』などのキーワードに対し、オークション方式で自動入札されて広告が掲載されます。単価の高い広告料を払っているところが広告枠上位、つまりより目立つ位置に表示される仕組みです。

 Google側は『審査』をしているとしていますが、事実上の無審査に近いと考えていいでしょう。登録した上でクレジットカードさえあれば、どんな人でも広告を出せる状態です。もちろん、きちんとした業者もいますが、そうでない業者もいる。当然、すべての業者のサービス実態まで審査できないでしょうから、広告表示と業者の質はまったく関係ありません」

 では、「広告」ではなく、検索結果の上位に掲載されるサイトについてはどうか。

「検索した時、上位に表示させるテクニックがあります。SEO(検索エンジン最適化)と呼ばれるもので、タイトルや見出しに特定のキーワードを複数入れる、コンテンツを長い文章で説明する、被リンク(外部サイトからのリンク)を増やす、などといったものが有名です。それらの要素をもとにGoogleがアルゴリズムで表示順を決めています」(三上さん、以下同)

 Googleもアルゴリズムを進化させて、なるべくユーザーにとって利便性の高い業者が上位に表示されるようアップデートしている。ただし、三上さんは「実態としてはSEOテクニックを駆使したところが優先されていることが多い」という。

「つまり、検索画面で表示される順位は、業者の質、信頼性とは関係がない場合がほとんどなのです。上位表示されているからといって信頼できる業者というわけではありません」

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