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繰り返されるギャラの未払いを裁判以外でどう解決する?弁護士が解説

発注先のギャラ未払いにどう対抗するか(イメージ)

発注先のギャラ未払いにどう対抗するか(イメージ)

 報酬をめぐって、支払いの遅れや不払いなどのトラブルに発展するケースは少なくない。裁判を起こす選択もあるだろうが、その他に解決する方法はあるだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 映像関係の仕事をしています。この業界、昔からそうなのですが、コロナ不況もあってか、以前にも増して発注先に請求書を送っても、ギャラ等を支払ってくれません。金額的に5万円、10万円のため、発注先も少額では裁判を起こさないと高を括っているのです。この状況を打開する方法を教えてください。

【回答】
 あなたが発注元の指揮監督を受けて作業しており、報酬が労務の対価と解されると、使用従属性が認められ、発注元から賃金をもらって使用される関係にある労働者として、『労働基準法』により、保護される可能性があります。

 指揮監督下にあるかは、【1】仕事の依頼や業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無。【2】業務遂行上の指揮監督の有無。【3】拘束性の有無。【4】代替性の有無(他の人に代わってもらえる場合、指揮監督の否定に繋がります)などがポイントです。その他、作業者本人の事業性の有無も検討されます。著しく高価な器具を自前で持ち込んでいる場合や高額の報酬を得ている場合には、労働者性は乏しくなります。他方、他の業務への従事が制約されたり、時間的余裕がなく、事実上困難な場合は専属性の程度が高くなり、労働者性を裏付けることになるでしょう。

『労働基準法』の適用があれば、使用者が賃金支払い義務を怠ると犯罪になり、労働者は基準監督署に不払いを申告することができます。監督署から調査が入ると、使用者は驚き、結局は支払います。

 この申告をしたことを理由に、使用者は不利な扱いはできず、違反すれば、それ自体で処罰されます。また、出来高の請負の形式を取っている場合では、使用者は労働時間に応じた一定額の賃金の支払い義務もあります。

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