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ワタミ「焼肉店」への業態転換で売上250%増の快進撃 逆張り値下げも

焼肉(和牛)の食べ放題ブランド『かみむら牧場』の郊外店舗が好調(時事通信フォト)

焼肉(和牛)の食べ放題ブランド『かみむら牧場』の郊外店舗が好調(時事通信フォト)

 コロナ禍で外食産業は大きな痛手を負った。特に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のもとでは、飲食店にとって「酒類提供の制限・禁止」が大きな打撃となった。そうしたなかで、飲食チェーンは新しい戦略を打ち出す必要に迫られている。

「ミライザカ」や「鳥メロ」など全国に居酒屋チェーンを展開するワタミもそうだ。今年2月14日には居酒屋業態を取る270店舗のうち、1割超の40店舗を年内に閉店する方針を公表した。そんな厳しい状況のなか、居酒屋120店を「焼肉の和民」に転換、2021年12月には寿司業態に参入し「すしの和」をオープン。思い切った判断について、同社はこう説明する。

「社長の渡邉(美樹)は『コロナ後に客足が戻るとしても70%くらい』と考えています。なんとなく利用されていた居酒屋より、焼肉やお寿司など行く店を事前に決めて予約をする人が増えており、コロナ後もこのスタイルがある程度定着していくと考えます」(広報室)

 業態転換の効果はすでに現われているという。

「顕著だったのは、焼肉(和牛)の食べ放題ブランド『かみむら牧場』の郊外店舗が好調ということ。九州の畜産会社と直接取引して和牛の食べ放題をウリにできたことで、他社との差別化ができ、郊外立地であることもプラスに働いたと思います。コロナ前の他ブランドの時よりも売り上げは200~250%増になっています。焼肉は換気がコロナの感染対策になっていることもあるし、今は郊外に強みがあるのは間違いないです」(広報室)

 外食ジャーナリスト・中村芳平氏はこう評価する。

「焼肉は職人技が必要ないので、比較的参入しやすい。さらに各飲食チェーンが値上げに踏み切るなか、『焼肉の和民』は逆張りで全てのメニューを390円以下に値下げします。消費者の支持が広がりそうです」

 向かい風が続く飲食業界で、新たな道を切り開いていけるか。

※週刊ポスト2022年4月22日号

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