大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

税の不公平をどう解消する? 給与所得者にも「青色申告」を適用するための政策提言

親への仕送りは経費にすべき

【1】教育にかかった学校関係の費用を還付し、奨学金は払い終わるまで経費計上できるようにする

 今の収入を稼げているのは、教育を受けたからである。したがって、その教育にかかった学校関係の費用は一定のルールに基づいて還付し、奨学金も払い終わるまで経費として収入から差し引く。このところ返済不要の給付型奨学金が拡大しているが、私は反対だ。奨学金は自分が勉強したいと思って受給したのだから、自分が責任を持って返済すべきである。ただし、課税対象からは除外する。

【2】仕事用の書斎・机・椅子・パソコン・プリンターなどの購入費を減価償却・経費計上できるようにする

 私が昔から提唱している「書斎減税」だ。給与所得者の家族が複数いれば、当然、その分も対象となる。

【3】住宅関連コストを減価償却・経費の対象にする

 購入した住宅の減価償却を認め、住宅ローンの金利や修繕費を経費として計上できるようにする。賃貸の場合は家賃に加え、光熱費なども収入から差し引けるようにする。アメリカはそういう制度だから、住宅関連の消費が旺盛なのだ。

【4】専業主婦・主夫に対する「家庭内給与」を設定する

 家事や育児に必要な対価(家庭内給与)を経費とみなす。仕事をしている夫か妻の所得から最大50%まで控除できるようにする(割合は自分たちで設定)。

【5】旅行費用を家族分も含め経費計上できるようにする

 旅行や出張は自身の見聞を広める貴重な機会だ。家族で行けば絆が強くなるし、経済波及効果も大きい。「全国旅行支援」で政府が国民に恵むようなやり方を許容してはいけない。

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