中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

地方移住を快適にするための心構え「悪口を言わない」「都会風を吹かさない」

移住直後に地元の人から助言されたこと

 ただし、移住するなら、心構えとして気をつけておきたいこともあります。移住直後に地元の人から助言されたのは「絶対に他人の悪口を言ってはいけない」というものでした。都会と比べて人間同士の繋がりが濃厚で、1人誰かを経由すれば「あぁ、その人、知ってますよ」となりがちです。だから悪口が筒抜けになってしまう。そして「あの移住者は悪口を言う人だ」という悪評が立ち、疎まれるようになります。

 さらに「都会風をふかすな」もありました。日本に住んでいるのに「アメリカでは……」「イギリスでは……」などと海外の優れた点を述べる人は「海外出羽守」と呼ばれ、嫌われがち。それと同様、「東京では……」「横浜では……」などと言い、それに続けて「電車が3分おきにやってきて便利だ」「有名人の姿を見かけることが珍しくない」などと、都会自慢をしてしまうと、これまた嫌われます。

 あと、もし可能なら、移住した後も1~2か月に1回は、元々いた土地に戻って仕事をするのもアリだと思います。幸いなことに私の場合、『ABEMA Prime』(ABEMA)という報道番組にレギュラー出演しているため、1か月に1回(今後は2か月に1回)東京へ行く名目があります。この時に、元々の知り合いや、リモートだとなかなか会えない仕事相手と会うようにしています。リモートで仕事をしている人も、時々はオフィスに行って、普段は会えない人に会うといいと思います。

 私自身、とにかくどこも混んでいる東京生活はもはや耐えられないな、という感覚があったので脱出しました。どこに行っても空いている唐津の快適生活がありつつも、東京にも居場所がある状態は安心感につながります。一度移住がうまくいくと、その地にずっといてもいいし、気になる街があれば、同様のやり方で次の街でも快適に住めるかもしれませんね。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『よくも言ってくれたよな』(新潮新書)。

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