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遺言書 できるだけ具体的に書くべき事項は「誰に」「何を」「どんな割合で」

家族以外に相続させるなら「執行者」も決めておく

 もし、特別に財産を多く渡したい人や、法定相続人以外に財産を渡したい人がいるなら、遺言書作成時に「遺言執行者」の選任をしておくと安心だ。

 文字どおり、遺言書に書かれたことを実現するために手続きなどを行う人のことで、弁護士や税理士が選任されていることもある一方、相続人の中の誰か1人が担うことも多い。遺言によって選任されていなければ、家庭裁判所に申し立てて決めてもらうか、手続きのたびに相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などが必要になる。

「相続人全員が協力できるなら、遺言執行者は必ずしも必要ではありません。しかし、相続人全員の協力を得るには手間がかかります。預金の解約などの手続きは遺言執行者が1人でできるように、遺言書で権限を与えておけば、前述のように遺言書に金額が明示されておらず、金融機関での対応が難しい場合も、相続がスムーズになります」(田渕さん)

 特に、法定相続人ではない人に財産を渡す「遺贈」があるときは、遺言執行者を定めておいた方がいい。

「遺言によって財産を与える遺贈は、相続とは異なります。不動産を相続した場合は、相続人単独で登記手続きができますが、遺贈を受ける『受贈者』が登記手続きを行うには、遺言執行者、または法定相続人全員との共同申請が必要になります。そこで、あらかじめ受贈者を遺言執行者に指定しておけば、自分1人で登記などの手続きができるようになります」(的場さん)

 遺言書は、何度でも作成できる。慎重な検討は必要だが、まずはつくることが何よりも重要だ。相続実務士で夢相続代表の曽根惠子さんも言う。

「遺言書をつくる前に、相続人におおまかな内容を伝えておくことも大切です。その時点で不満が出れば、それを判断材料にして内容を考え直すこともできる。作成後もできるだけ、どんな遺言書をつくったか相続人に伝えてほしい。オープンにするほど、遺言者の意思を実現しやすい遺言書になります」

 そもそも、遺言書なんて、お金持ちだけの話だと思ったら大間違いだ。事実、司法統計では、2020年に起きた相続トラブルの8割近くが、遺産総額5000万円以下の家庭で起きている。

「相続税のかからない、遺産総額3000万円に満たない家庭でも、いざ相続というときに紛争になり、弁護士が間に入らざるを得なくなるケースは多い。財産の多い・少ないにかかわらず、どんな人でも、遺言書の作成を考えてほしい」(的場さん)

※女性セブン2022年9月22日号

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