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吉田みく「誰にだって言い分があります」

物価高が深める夫婦の溝 簡単に小遣い値上げ要求する夫が知らない妻の節約の苦労

知らぬは夫ばかりなり?(イメージ)

知らぬは夫ばかりなり?(イメージ)

 急激に進む円安やエネルギーコストの増大の影響により、外食業界でも値上げが相次いでいる。帝国データバンクが発表した「『上場外食主要100社』価格改定動向調査」によると、10月18日までに56社で平均50円の値上げが判明したという。金額が明らかな41社のうち、1メニューあたりの値上げ額「100円以上」は6社、同「100円以下」は9社、同「50円以下」は8社などとなっている。こうしたメニュー値上げは確実に家計に影響を与えており、それが夫婦仲の溝を深める結果になっているケースもあるという。フリーライターの吉田みく氏が、30代主婦の話を聞いた。

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 ちょっとした贅沢も、値上げの影響で難しくなるケースが増えているようだ。都内在住の専業主婦ミホさん(仮名、37歳)は、休日の楽しみであった喫茶店のモーニングが値上げされたことをきっかけに、夫婦間に溝が生じたことを話してくれた。ミホさんは夫と子供3人の5人家族だという。

「夫は激務のため、育児と家事全般は私がやっています。そんな私の唯一の息抜きは、夫に子供を預けて一人で行く週末の喫茶店。焼きたてのパンを食べながらコーヒーを飲み、ゆっくりと過ごす時間は最高でした。しかし値上げの影響で行きにくくなってしまいました……」(ミホさん、以下同)

 ミホさんが通うのは、自宅から徒歩5分の距離にある個人経営の喫茶店。トーストとゆでたまご、お代わり自由のコーヒーがついて500円だそうだ。毎月5000円のおこづかいでやりくりをするミホさんからするとそれなりの出費であるものの、ミホさんにとってはなくてはならない息抜きになっているそうだ。

 ところが最近、週1回の楽しみであったモーニングが値上がりし、500円から600円になってしまったという。100円程度の負担増ではあるものの、ミホさんとしては「決して安い金額ではない」と話していた。

「世間からは『たった100円で……』と思われてしまうかもしれませんが、私にとっては死活問題です。月に4回行ったら400円も負担が増えます。喫茶店へ行く頻度を抑えれば解決する問題ではありますが、私の息抜きの回数が減ります。ご時世的に仕方がないとは分かっていますが、ショックで仕方がありません……」

 このことを夫に相談すると、「週1、しかも数百円のことなんだから気にしなくていいのに」と言われたという。一見すると問題は解決しそうに思えるが、ミホさんとしてはそうではなかったようだ。

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