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「どうして誰もわからなかったの?」英女王がリーマン危機直後に経済学者に向けた疑問とその回答

バブルは弾け、新たなマネーゲームが始まる(Getty Images)

バブルは弾け、新たなマネーゲームが始まる(Getty Images)

 もしも経済学が、銀行の味方では断じてないと主張するのなら、市場原理主義を掲げる経済学者はここで大キャンペーンを張るべきだった。それに類する行動が見られなかったことから考えると、この手の経済学者は銀行の味方だと疑われるのは致し方がないのではないか。すくなくとも、エリザベス女王から「どうして誰も危機を予測できなかったのか」と問われて、「全体のリスクを見誤った」なんて誤魔化しているのはおかしい。

 2008年のリーマン・ショックの前にはバブルがあった。まぎれもなくバブルだった。頭のいい経済学者はそんなことは百も承知だった。そしてバブルはやがてはじけるということも当然予測していた。バブルははじけた。多くの人が傷ついたが、それは金融資本主義のコストとして飲み込むしかない。さあ、気を取り直してまたゲームを始めよう。これがエリザベス女王に言えなかった本音ではないか。
 
 経済学の教科書には、「経済学は“社会科学の女王”と呼ばれる」なんてことがよく書かれている。つまり、冒頭のエピソードに戻ると、女王が女王に「どうしてわからなかったの」と詰め寄ったってわけだ。ただし、経済学を「社会科学の女王」と誰が呼んだのかはよくわからない。19世紀の経済学者ヘンリー・ダニング・マクラウドという説があるが、だとしたら自称じゃないか。女王を自称するなんてたちが悪いと思う。

【プロフィール】
榎本憲男(えのもと・のりお)/1959年和歌山県生まれ。映画会社に勤務後、2010年退社。2011年『見えないほどの遠くの空を』で小説家デビュー。2018年異色の警察小説『巡査長 真行寺弘道』を刊行し、以降シリーズ化。『DASPA 吉良大介』シリーズも注目を集めている。近刊に真行寺シリーズのスピンオフ作品『マネーの魔術師 ハッカー黒木の告白』、『相棒はJK』シリーズの『テロリストにも愛を』など。最新刊に『アクション 捜査一課 刈谷杏奈の事件簿』がある。2015年に発表され話題となった、3.11後の福島の帰宅困難地域に新しい経済圏を作る小説『エアー2.0』の続編『エアー3.0』を現在構想中。

  

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