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【復活できない名門「東芝」】“倒産せず”で再建は泥沼に、リーダーも見当たらず

今後の舵取りを担う島田太郎・社長(時事通信フォト/東芝提供)

今後の舵取りを担う島田太郎・社長(時事通信フォト/東芝提供)

 だから、東芝が粉飾決算という上場企業にあるまじき行為を働いた“不良企業”であるにもかかわらず、政府は総力をあげてその倒産を阻止してきた。今回のJIPによる買収も、その前に浮上した「会社分割案」も、要は倒産を回避するための弥縫策に過ぎない。

 株主、債権者、取引先、経営陣、従業員。それぞれのステイクホルダー(利害関係者)が上場廃止、債権放棄、経営陣の総入れ替え、大規模な人員削減で痛みを分かち合い、事業再生を目指すのが「倒産」である。

 良薬口に苦しの諺通り、関係者の痛みは小さくないが、重荷を取り払われた分、会社は早く復活する。国の都合と経営陣の保身で良薬を口にできない東芝は、病に蝕まれたまま衰弱していく。

【2】「リーダー」がいない

 倒産せずに復活した企業もないわけではない。1990年代の終わりに約2兆円の有利子負債を抱え「倒産寸前」と言われた日産だ。ダイムラークライスラー(現ダイムラー)との資本提携に望みを託していた日産は、そのダイムラーに支援を断わられたが、1999年に仏ルノーから6430億円の出資を受けて生き延びた。大株主になったルノーは副社長だったカルロス・ゴーン氏を送り込み、苛烈なリストラを断行させる。

「コスト・カッター」の異名を取るゴーン氏は全世界で2万1000人を削減し、「系列」を解体して下請け企業を半分にした。日産との取引を打ち切られた下請けはバタバタと倒産したが、これによって購買コストを2割圧縮。子会社・関連会社1400社のうち、4社を除く全ての会社の保有株式を売却した。

 その後、ゴーン氏は日産社内で絶対的な権力を握り、2018年に有価証券報告書の虚偽記載容疑で逮捕され、国外に逃亡した。ゴーン氏の評価は地に落ちたが、倒産寸前だった日産がV字回復を実現できたのは、ゴーン氏の強烈なリーダーシップによるところが大きい。

 一方、東芝は粉飾決算の発覚で西田厚聰氏(故人)、佐々木則夫氏、田中久雄氏の歴代3社長が辞任した後、リーダーシップを発揮できる経営者は現われていない。

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