藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

年金資金を運用する「GPIF」リーマンショック以来の3四半期連続赤字でも心配無用のワケ

2014年に変更された基本ポートフォリオ

 極めて優秀な成績で長期運用できているGPIFのポートフォリオはいったいどうなっているのでしょう? 

GPIFのポートフォリオ(GPIFのホームページより)

GPIFのポートフォリオ(GPIFのホームページより)

 基本ポートフォリオは、国内債券、外国債券、外国株式、国内株式に4等分ですが、多少のバッファは想定されており、直近のポートフォリオも基本からはみ出ない範囲でしっかり運用されています。2022年度は株式が不調でしたので、債券と比べると、やや割合が少なくなっていますね。これらが許容範囲を超えてくると、債券を売って株を買い、基本ポートフォリオの割合に近づけるようリバランスされます。

 じつはこの基本ポートフォリオは、2014年に大きく変更されました。それ以前は、資金の6~7割が国内債券で、海外債券を合わせると全体の8~9割が債券に振り分けられていました。しかし、少子高齢化による年金給付金の不足を避けるために、リスク資産への割合を徐々に増やし、現在のポートフォリオへ落ち着きました。変更された当初は「わたしたちの大事な年金を、株なんかに投資するなんて!」といった非難の声もあったようですが、逆に、変更をしなかったならば、100兆近くもの運用益は得られていません。「リスクを取らないリスク」を避けることができたことは、わたしたち日本国民にとっては、かなりのラッキーと言えるかもしれません。

GPIFは将来世代のために運用している

 GPIFの成績が赤字になると、「今、年金を受給している人たちの年金受け取り額が減ってしまう?」と誤解している人がいるかもしれません。GPIFは、これまで現役世代が収めた年金保険料のうち、年金の支払いなどに充てられなかったお金を年金積立金として預かり、そのお金を将来世代のために運用して増やしています。そのため、実際にこれらが年金として支払われるのは、50年以上先と思っていいでしょう。それほどの長期投資ですから、3四半期連続赤字なんて運用成績の目先の小さな変動は、まったく気にする必要はないのです。

《本日のまとめ》
【1】GPIFは長期分散投資で運用しているので、短期的な成績は気にしなくていい
【2】運用開始以来、運用目標以上の平均利回りで運用できている
【3】3四半期連続赤字でも、まったく気にする必要なし!

【プロフィール】
藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロン「藤川里絵の楽しい投資生活」(https://lounge.dmm.com/detail/3843/)を主宰。本稿の関連動画がYouTube(https://youtu.be/72seVm24TQ8)にて公開中。

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