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「骨は海に撒いてくれ」故人が散骨を望んでいても実現しにくい“最大のネック”

散骨の理想と現実とは(イメージ)

散骨の理想と現実とは(イメージ)

 かつて遺骨は墓に納めるのが一般的だったが、最近では供養のかたちも多様化。粉状にした遺骨を海にまく「海洋散骨(以下、散骨)」もその一つで、ここ数年で興味を持つ人が増えている。ライフエンディングテクノロジーズの「海洋散骨に関する現状調査」によると、2021年時点で、約9割の企業が5年前より問い合わせ件数が増えたと回答した。ただし、故人が生前に散骨を希望していても、いざ供養する場面で遺族が戸惑うケースも少なくないようだ。

 40代女性・Aさん(メーカー勤務)の亡くなった父親は生前、「俺の骨は海にでも撒いてくれ」と語っていたという。Aさんがその言葉から読み取ったのは「墓じまい」だった。

「父は、死んだ後のことはどうでもいいみたいに言っていたけれど、本当は墓じまいを意識していたんだと思います。お墓は九州にあるので、東京からだと年1回お参りできるかどうか。父は子供に負担をかけたくないというのが本音で、『骨を撒いてくれ』というのは照れ隠しだったように思います。生前、父はよく『墓は維持も大変』と言っていたので」(Aさん)

 Aさんの父親の希望通り、供養は散骨で進める予定だったが、Aさんの妹の大反対によって、一時は散骨が白紙になりかけたという。

「父親が亡くなる前は散骨に賛成だった妹が、『お父さんの遺骨が何も残らないなんて絶対に嫌』と言い出して……。確かに妹の気持ちはわかるんです。私もできることならお墓に入れてあげたいと思っていたので。でも父の希望を叶えてあげたくもあり、複雑な気持ちでした。意外だったのは母の態度で、あっけらかんと散骨を支持していました」(Aさん)

 妹が反対していたものの、話し合いの結果、やはり海で散骨することになった。Aさんが提案した「折衷案」に妹が納得したからだ。

「業者さんに相談して、すべての遺骨を海に撒くのではなく、一部の遺骨を残してペンダントを作ってもらうことにしたんです。これなら遺骨は手元に残るし、散骨もできる。妹も納得してくれました」(Aさん)

 こうした親と子の意識のギャップは、データにも表れている。エイチームライフスタイルが運営するサイト「ライフドット(Life.)」が実施した「親世代・子世代のお墓に対する意識」に関する調査(2020年)では、親世代が望む納骨先は、散骨(26.4%)が最も多かった。一方、子世代は「従来の墓石のお墓」(33.6%)が最多だった。供養方法に「墓石のお墓」を希望する割合を比較すると、親世代で「墓石のお墓」に入りたい人は14.3%で低く、子世代と2倍以上の開きがあった。

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