住まい・不動産

コロナ禍を経て“憧れの地”に返り咲いた東京 最大の優位性は「子供の未来に対する選択肢」の指摘も

時代を牽引した「上京ドラマ」年表

時代を牽引した「上京ドラマ」年表

 当時社会現象となった朝ドラ『あまちゃん』(2013年)は、アイドルを夢見て岩手の北三陸から上京したヒロインのアキが、東日本大震災を経験。「地元に帰ろう」と田舎で幸せに暮らす姿が描かれた。

「その少し前からドラマ『電車男』(2005年)では都内在住ではあるものの親と同居しているゆるい男子が描かれるなど、東京は少しずつ“キラキラした目指す場所”ではなくなっていった。さらに少し前、1990年代後半に大ヒットした『ロングバケーション』も東京が舞台ではあるものの、都会的なイメージはなく、下町での生活が描かれます。こうした変化の一方でインターネットが普及。東京の悪い点も含めて“見える化”されたことも、憧れが薄れた要因でしょう」

憧れではなく合理的な考えで東京を目指す

 だがコロナ禍を経て、東京は皮肉にも再び“憧れの地”に返り咲いた。

「リモートが発達し、SNSが普及したいま、東京との情報格差はほとんどない。しかしその半面、進学や就職で東京に行く“リアルな上京体験”のハードルは上がっています。せっかく東京の大学に合格したのにコロナ禍で大学がオンライン授業になったうえに、不景気で授業料が払えず地元に帰らざるを得ない学生は少なくありません。

 また、バブル期とは違い、まずは上京して、そこでがむしゃらに働けばなんとかなるという夢も抱きにくい。SNSを通じて身近に感じられるのに、敷居は高い、“近くて遠い存在”になったからこそ、ドラマを通して都会を追体験したい若者が増えていると考えられます」

 加えて不景気やコロナ禍を身をもって体験してきたいまの若者は上昇志向が強い。

「この先何が起きるかわからない中、新しいことを学んでスキルを身につけ実践する能力、『リスキリング』を習得したいという声も多く聞きます。そのためには最先端の場所に身を置いた方がいい。単なる憧れだけでなく、合理的な考えで東京を目指そうとするところが、バブル期までの上京とは異なる点でしょう。

 確かにインバウンド需要により外国人が地方都市にも多く訪れるようになった。大阪や名古屋など東京以外の場所にも新しい商業施設が誕生し、トレンド源は少しずつ地方にも分散しつつありますが、“港区女子”の言葉に象徴されるように、東京にはいまもほかには代えがたいある種のブランドがあるのです」

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。