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認知症母が隣人に贈与、孫への贈与1000万円を嫁が使い込み… 「こんなはずじゃなかった」生前贈与のトラブル

一度贈与が成立すると取り返すのは難しい

 法定相続人以外への贈与や相続のトラブルは後を絶たない。都内在住の主婦Kさん(67才)が頭を抱える。

「80代の母は少し前から認知症の気がありました。そんな中“いつもお世話になっているから”と、私の知らない間に、勝手に隣人に贈与していたんです。こんなの、おかしいですよね」

 一方、宮崎県の会社員の男性Eさん(68才)は、こう憤る。

「孫のために使ってほしくて、1000万円を一括で息子の口座に贈与しました。でも、どうやら嫁が勝手に使っていたようなんです。何とかして取り戻したい」

 本来なら贈与されるはずの人にお金が渡らない場合、取り返すことは可能なのか。

「一度贈与が成立してしまうと、取り返すのは非常に難しい。認知症の診断がされておらず“たぶん認知症だろう”といった程度なら、“本人の意思だった”と見なされます。孫への贈与なら、贈与口座をつくっておいて、学費などの領収書がなければ引き出せないようにしておけば、勝手な使い込みは防げたかもしれません」(曽根さん)

 相続の場面では、法的に効力のある遺言書が出てきたらほぼ“詰み”だ。神奈川県の主婦Sさん(53才)は、夫の財産を愛人に奪われたという。

「愛人だと名乗る女性が小さな男の子を連れてうちに来ました。“愛人とその子供にすべての財産を相続させる”と書いてある遺言書を持ってきたんです。どう見ても夫の字で署名があり、検印もされていました。私と夫の間には子供もおらず、夫の財産をすべて奪われたら、本当に何も残りません」

夫の遺言書で「愛人のほぼ総取り」になることも…

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 残念ながら、遺言書が法的に有効だと認められれば、その内容が公序良俗に反していない限り、財産を全額取り返すことは不可能。法定相続人が妻だけの場合は「財産の2分の1」が遺留分として決まっているため、半分は確保することができるが、Sさんのように子供がいない場合は、もう半分が愛人とその子供のものになってしまうことは避けられない。

 もし、配偶者及び子以外の人に財産を渡したいと考えているなら、相続税が2割加算になることは覚えておきたい。税理士で公認会計士の木下勇人さんが説明する。

「孫や嫁など、法定相続人でない人は本来、遺言書がなければ相続する権利はないため、加算があるのです。その分、暦年贈与などの持ち戻しの対象にはならないため、やはり、法定相続人以外の人に財産を渡したいなら、非課税枠の範囲内でいまのうちに生前贈与しておくのがベストです」

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