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「単なる民間登用ではない」日銀新総裁・植田和男氏“サプライズ起用”の舞台裏

新総裁が植田和男氏に決まるまでに何があったのか(時事通信フォト)

新総裁が植田和男氏に決まるまでに何があったのか(時事通信フォト)

“サプライズ人事”の舞台裏はどうなっていたのか──。日本銀行の黒田東彦総裁(78)の後任に、元日銀審議委員で共立女子大学教授の植田和男氏(71)が起用されることになった。2月14日に人事案が国会に提示され、4月にも新体制がスタートする。

 そもそも黒田総裁の後任をめぐっては、副総裁の雨宮正佳氏が“本命”、元副総裁の中曽宏氏(大和総研理事長)が“対抗”と目されてきたが、国会への人事案提示を間近に控えた2月10日に突如、経済学者の植田氏が浮上した。なぜ最有力候補の雨宮氏でなく、それまでまったく取り沙汰されてこなかった植田氏に白羽の矢が立ったのか。

「結果的にいえば、これは雨宮氏の“作戦勝ち”です。雨宮氏は3代前の速水優総裁時代から20年以上にわたって日銀の政策運営を事実上取り仕切ってきた。ところが、黒田総裁がこの10年続けてきた『異次元の金融緩和』への風当たりが強くなり、その制度設計を担ってきた雨宮氏も針のムシロに座らされる格好になってしまった。“もう疲れた”というのが雨宮氏の本音でしょう」(日銀関係者)

「日銀のプリンス」とも称される雨宮氏は、早くから次期総裁の筆頭候補とされ、政府も雨宮氏に打診を続けるなか、2月6日の日経新聞が「日銀次期総裁、雨宮副総裁に打診 政府・与党が最終調整」と報じ、外堀を埋めようとしたという。

「しかし、黒田総裁と二人三脚で日銀の政策を運営してきた雨宮氏にとって、新総裁になれば、これまでの政策を検証し、金融政策の正常化に向けて政策変更も求められる。それは“自己否定”にもつながりかねないので、最後まで首を縦に振らなかったのでしょう。

 また、ここ最近、日銀の運営を実質的に動かしてきたのは、次期副総裁となる日銀理事の内田真一氏。内田氏は日銀の金融政策の企画・立案をする企画局長や企画担当の理事として財務省ともやりとりする“次世代のエース”で、それもあって雨宮氏の固辞につながったのかもしれません」(同前)

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