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「嘘つきやがって、このやろう!」“闇バイト募集”に連絡したジャーナリストが受けた“恫喝電話”の中身

 そこで仕方なく「はい、40代です。嘘つきました」と言いました。「本当は、もっと上だろう! このジジイ! 嘘つきやがって、このやろう!」「お前みたいな。なれなれしいおっさんは、嫌いなんだよ!」と、次々に罵詈雑言を浴びせてきます。

 私はこうした調査を10年以上していますから、このような言葉を受けるのはいつものことです。「はい。はい。ごめん。ごめん。嘘ついて」と相槌を入れました。そして相手に言わせるだけ言わせた後で「なれなれしい口調で、申し訳なかったね。それじゃ、仕事の話は聞かせてくれないのね」と返します。そこで冒頭の言葉の「そんな態度じゃ、あったりまえだろうが!」です。

 しかし、被害者宅に赴く「受け子」は、すぐに捕まってしまうので、絶えず人手不足です。なので、いつかは仕事の話になると確信していました。電話を切らずに、相手の荒い口調をずっと聞いて対応していきます。

 いくら脅しても、怒鳴っても、一向に引かない私の態度に、相手の怒りのトーンは落ちていき、最終的には「面白いジジイだから、仕事の話だけはしてやる」と言います。「それは嬉しいね」と答えます。

あれは「ルフィ」の犯罪グループだったのか?

 紹介してきたのは、詐欺の実行犯である「受け子」や「出し子」の仕事でした。そこで「お兄さん(電話口のリクルーター)の名前は?」と尋ねると、「○○○だよ」と外国人のような名前で答えます。これには違和感を覚えました。通常、相手の名前を聞くと、たいてい「鈴木」「佐藤」などの架空の日本名で答えるのが一般的だからです。このとき、「通話をしている先は、海外か?」の思いが頭をよぎりました。

「どこかで聞いたことがある、この名前は何だろう?」と思い、パソコンで検索すると、漫画『ワンピース』のキャラクター名が出てきたことを覚えています。名前はおそらく「サンジ」を名乗っていたと記憶しています。私は足が短いので、「足の長さが自分とすごく違うな」と嫉妬に似た気持ちを抱いたことを覚えているからです。

 今回、強盗集団の指示役が漫画『ワンピース』の登場人物である「ルフィ」を名乗っていたという報道を聞き、この時の記憶がよみがえりました。ただ、この時の会話はオンエアされませんでしたので、スタッフに当時の映像素材が残っていないかを調べてもらいましたが、「もうありません」とのことでした。

 この電話をかけた3か月後の昨年5月、今回逮捕された強盗グループが宝石店の強盗を行っていたと報道されています。その前後にも、詐欺や強盗、窃盗を指示していた疑いがあります。当時、数多くの闇バイトの募集に連絡を取っていたので、その一つが「ルフィ」の犯罪グループに当たっていた可能性は高いと考えています。

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