5周年イベントでは、開店前からキャラクターの「R.B.ブッコロー」グッズ売り場に行列ができた
老舗書店「有隣堂」のYouTubeチャンネル『有隣堂しか知らない世界』が好調だ。動画クリエイター・ハヤシユタカ氏が手がける同チャンネルは、ユニークな着眼点と“建前”のないキャラクターの自由なツッコミが人気を博し、2025年8月現在で登録者数約40万人。多くのファンを擁し「代官山蔦屋書店ジャック企画」や「24時間公開生配信」といったリアルイベントも開催するまでに至っている。著書『愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと キャラクターは会社を変えられるか?』も話題のハヤシ氏が、勢いが止まらないチャンネルの今後について、語ってくれた。【全3回の第3回】
「来てくれた人に絶対に満足してもらう」
老舗書店が、5年間手探りで成長させてきたYouTubeチャンネル。そこからリアルの世界に飛び出すと、ファンとの交流を不深めてきた。
2024年9月28日10時から9月29日10時まで、企業チャンネルとしては前代未聞の24 時間公開 YouTubeライブで、同チャンネルのキャラクター「R.B.ブッコロー」と総勢12人のゲストによるトークライブを行い、同時接続数は最大8000人を記録。収録会場の「誠品生活日本橋」には、のべ4000人以上が来訪する盛況ぶりを見せた。また、今年6月29日には、開設5周年イベントを同店で開催し、ブッコローが「1日店長」として10時間にわたって来店者と交流した。
昨年行なわれた24時間生配信のライブ会場の様子
チャンネルを見ていたファンを確実にリアルイベントに呼び込めた背景には、やはり「日々動画に向き合ってきたことが大きい」とハヤシ氏は言う。
「有隣堂はやはり実店舗というハコがあることが強みなので、リアルイベントはいつかやりたいと思っていました。でもいざやってみると、予想よりもはるかに多くの方が来てくださって驚きました。常々僕は“調子に乗らない”を自らに課していて、目標は低めに置くのですが、いい意味で読みが甘かったです。
有隣堂にはそもそもの企業ファンがいらっしゃるのはもちろん、YouTubeチームがファンを増やしていくんだという想いのもと、視聴者に真摯に向き合って、“面白さ”から逃げなかった。1本たりとて絶対に妥協しないでやってきたことが、目に見える形であらわれてくれたのかなと思います」
会場ではオリジナルグッズの販売やノベルティの配布も行った。限定の「漁師網バッグ」の抽選販売には、午前3時半に300人の行列ができ、2000円ごとに配布するノベルティのステッカーは3600枚がなくなった。
「もちろん、小売に関して僕は素人なので、反省すべきポイントはたくさんありましたが、大事にするのは動画もイベントも同じで、来てくれた人に絶対満足してもらうこと。グッズに関しても、頑張ってゲットしてよかったと思えるものしか置かないようにしています」
5周年イベントでのブッコローグッズ売り場