金(ゴールド)が注目される背景は?
金価格が1トロイオンス=3800ドルを超えるなど、最高値更新を続けている。日本の価格は、円安の影響もあり1g=2万円を超えた。そんな状況の中でこれから金投資を考えている場合は、どのような戦略をとればよいのか。今回は金価格上昇の背景を分析したうえで、リスクを押さえた金投資のタイミングについて、億り人投資家で経済アナリストの古賀真人氏が解説する。
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近年、ゴールドへの注目が集まっている。しかし、最高値圏で推移する金価格を見て「今から始めても遅いのではないか」「値ごろ感になってから投資したい」と投資に踏み切ることに躊躇する声も多い。
今回は、ゴールドの魅力と、高値圏にいる今からでも効果的にゴールド投資を始めるための戦略について解説する。
なぜ今からでもゴールドなのか? 3つの価格押し上げ要因
ゴールド価格が高値圏で推移する背景には、複数の構造的要因が存在している。これらの要因を理解することで、今後の展望についても納得の行く戦略を持つことができるだろう。
【1】地政学的リスクの高まりと安全資産需要
地政学的リスクの高まりは、投資家の安全資産需要を押し上げる要因となる。特に昨今の不安定な国際情勢下では、投資家がリスク回避姿勢を強め、安全資産とされるゴールドに資金を移す「リスクオフ」の動きが活発化している。
ウクライナ情勢や中東地域の緊張状態、米中貿易摩擦の継続により、株式や債券への不信が高まっている。特定国家に依存しない価値保存手段としてのゴールドへの注目度が増している。
世界各国の中央銀行も外貨準備の多様化を進めており、ゴールドの購入量は過去最高水準に達している。政治的な不確実性が継続する限り、幅広い層でゴールドへの需要は高止まりが続くと予想される。
【2】インフレ懸念拡大による実物資産回帰
世界的なインフレ懸念の持続が、実物資産としてのゴールドへの注目度を高めている。各国の金融緩和政策により供給された大量の資金がインフレ圧力を生み出し、法定通貨を売り、ゴールドを代表するコモディティ資産を買う姿勢が強まっている。
【3】トランプ政策によるドル信認の揺らぎ
トランプ大統領の保護主義的な政策や関税強化は、国際金融システムに対する不確実性を高めており、これらの経済政策が米ドルの基軸通貨としての信認を下げ、「ドル離れ」と言われる現象を起こしている。これにより、ドルから離れた資産がゴールドにも向かい、ゴールド価格にとっては押し上げ要因となっている。
これらの理由が今後も継続すると仮定する場合、ゴールド価格はまだまだ上昇の見込みが考えられる。