買った時より株価が10倍以上に値上がりするテンバガー(10倍株)を手にすることは、多くの個人投資家にとって憧れだろう。日経平均株価が5万円前後の史上最高値圏で推移するなか、ここから株価10倍も目指せるような大化け株はどこに潜んでいるのか。数多のテンバガーを達成している “億り人”が、いま照準を合わせている銘柄は何か。
会社員として働きながら、これまで日本株だけで計96銘柄のテンバガー達成という驚異的な記録をたたき出している現役サラリーマン投資家・愛鷹(あしたか)氏に、大化け株のポテンシャルを持つ銘柄を挙げてもらった。
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愛鷹氏は20代だった2008年に元手160万円で個別株投資を始め、2015年に運用資産が1億円を超えて億り人に。30代で早くも2.5億円の資産を築き上げた。2025年9月、資産は4億円に達した。
初の10倍株を達成したのは2011年。株式投資を始めて2番目に買ったコシダカホールディングス(東証プライム・2157)だった。2011年に買った夢真ビーネックスグループ(2023年1月、オープンアップグループに社名変更)が10倍株となった2013年以降は毎年10倍株を手にしており、「テンバガーハンター」の異名を取る。
2025年に10倍株を達成した14銘柄
2025年1月に3万9000円台で始まった日経平均株価は、約11か月で5万円前後の史上最高値圏まで上昇した。今春の「トランプ関税ショック」をはじめ株価が大きく下落する局面もあったなか、愛鷹氏は今年だけで14銘柄(11月下旬現在)でテンバガーを達成している。同氏が振り返る。
「2025年はアシックス(東証プライム・7936)、鈴茂器工(東証スタンダード・6405)、コナミグループ(東証プライム・9766)、GMOインターネット(東証プライム・4784)、BIPROGY(東証プライム・8056)、シンフォニアテクノロジー(東証プライム・6507)、システムリサーチ(東証プライム・3771)、スクウェア・エニックス・ホールディングス(東証プライム・9684)、伊藤忠商事(東証プライム・8001)、ベルテクスコーポレーション(東証スタンダード・5290)などでテンバガーを達成しました」(以下、「」内コメントは愛鷹氏)
銘柄の選び方については「将来的に成長しそうな業種や息の長そうなテーマを絞り、次に継続的な需要が見込める企業を絞り込む。決算短信で業績や配当などをチェックし、増収増益で好調な銘柄をいち早く見つけて投資するのが愛鷹流」と語る。
「たとえば、前出のシンフォニアテクノロジーは当時の決算発表の業績がよくて購入しましたが、含み損期間を耐え忍んだ結果、実は『半導体製造装置のロードポートで世界シェアNo.1!』と、半導体製造関連の一面がクローズアップされ、航空機向けの電源システムが戦闘機に実装など防衛関連としてもテーマ化したことで今年は株価が伸びました。
伊藤忠商事は当時の配当利回りもよく、大手総合商社の中でも資源に偏り過ぎていないビジネス展開がよいと思い、真っ先に購入。システムリサーチは自動車セクターでも一人勝ちにあるトヨタグループのシステム開発などを手がけており、トヨタの持ち味であるカイゼンをDXの側面から支えています」
厳選した銘柄を“ガチホ(ガチでホールドする、の略)”で長期保有して「10倍株」となるのを待つのが愛鷹氏のスタイル。今回は、決算の数字がいいにもかかわらず株価が下がっている有望な銘柄、需要が今後増えて恩恵を受けそうな銘柄、オンリーワン、ニッチトップ、シェアトップを誇る銘柄など、愛鷹氏がいま注目する5銘柄を厳選、解説する。