海洋研究開発機構は、南鳥島沖の深海底でレアアース(希土類)などの堆積物の試験採取を開始した(写真:時事通信フォト)
中国は、軍民両用品目の日本向けの輸出規制を発表し、市場ではレアアース供給途絶への懸念から、株式市場では関連銘柄が物色される様相となっている。こうした流れを受けて、レアアース関連で注目される日本株の個別銘柄には、どのようなものがあるか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が分析し、解説する。
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レアアースの重要性と「脱・中国」の行方
1月上旬、中国は軍民両用品目の対日輸出規制を即日発効させると発表した。高市早苗首相による台湾有事をめぐる国会答弁が引き金となったこの措置により、市場ではレアアース供給途絶への懸念が一気に高まり、関連銘柄が軒並み急騰する事態となっている。レアアースは単なる特定企業の問題ではなく、日本の製造業全体を支える戦略物資である。スマートフォンから電気自動車(EV)、風力発電機、防衛装備品に至るまで、現代のハイテク製品に不可欠な素材だからだ。特に、EV用モーターのネオジム磁石に不可欠な添加剤であるジスプロシウムやテルビウムといった「重希土類」は、ほぼ100%を中国に依存しているのが実情である。
日中関係が悪化し始めた2010年の尖閣諸島中国漁船衝突事件以降、日本は中国へのレアアース輸入依存度を90%から約60%まで低下させてきた。豪州やインド、カザフスタンからの調達多角化、代替技術の開発、戦略備蓄の拡充、リサイクル技術の推進といった国を挙げた取り組みの成果である。しかし、重希土類に関しては代替調達先の確保が難航しており、“アキレス腱”となっている。
産業の裾野が広いレアアースの供給不安は、製造業全体へ波及しかねない。規制の長期化が避けられない情勢下、日本企業は「国産開発」「調達多角化」「代替技術」という三つの軸で脱中国依存を加速させている。
株式市場では、短期的な思惑買いにとどまらず、中長期的に強固な供給網(サプライチェーン)を構築できる企業を選別する動きが始まっている。
今回はレアアース関連で注目を浴びている企業をピックアップしていく。
レアアース泥の試験掘削が開始、株価は急騰
【東洋エンジニアリング(6330)】
同社は「国産レアアース」開発の技術的支柱として、市場の関心を一身に集めている。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の委託を受け、南鳥島沖の海底6000メートルからレアアース泥を回収する技術開発を担当。
また、中国での磁性材料プロジェクトにおけるマネジメント実績も有しており、資源開発と実務の両面で不可欠な存在と位置づけられている。 南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)には世界需要の数百年分に相当するレアアース泥が眠るとされ、2026年1月より待望の試験掘削が開始された。同月12日には地球深部探査船「ちきゅう」が商業化に向けた実証試験へと出航しており、国家プロジェクトの進展が株価を強力に後押ししている。
年初からの7連騰で株価は昨年末比で2倍以上に達し、1993年5月以来の高値を更新するなど、その期待値の高さが窺える。
