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キャリア
一流の接待

Jリーグ初代チェアマン・川淵三郎氏が明かした「ゴルフ接待」で使うべき褒め言葉 「ナイスオン」は言っていいが「ナイスショット」の乱発は避けるべき理由を指南

川淵三郎氏にはゴルフ接待での忘れられない思い出があるという(Getty Images)

川淵三郎氏にはゴルフ接待での忘れられない思い出があるという(Getty Images)

 ビジネスパーソンにとって「接待」の場こそ、教養や人間力が試されることになると説くのは、人物ルポルタージュや企業取材を数多く手掛けてきたノンフィクション作家・野地秩嘉氏だ。その野地氏が「ゴルフ接待において“神”と称された伝説の名人」とするのが、Jリーグの初代チェアマンなどを歴任した川淵三郎氏である。

「キャプテン」の愛称で知られる川淵氏は日本代表としても活躍したサッカー選手だが、30年間にわたり古河電気工業でビジネスパーソンとして働いた経験も持つ。そのなかでゴルフ接待の腕を磨いたのだという。そんな川淵氏に聞いたゴルフ接待の逸話について、野地氏の新刊『一流の接待』より一部抜粋、再構成して紹介する。

 * * *
 川淵キャプテンにはゴルフ接待での忘れられない思い出があるという。「空気を読む」という接待の本質にも関わるものだ。

「古河電工は年に1回、大手メーカーと大きなコンペをやっていたんです。ゲストの社長以下幹部を古河電工の社長以下幹部が全員で接待する。僕は部長だったけれど、いちばん下っ端だったから、参加する時もあれば出ない時もあった。人数合わせの要員です。ある年のこと、急遽、僕が出ることになった。160ヤードの谷越えのショートホールでニアピンコンテストで、僕の前の組にいたのが接待相手の会社の人でした。資材担当の常務取締役で、とてもよくしてくれた人だった。ただ、その人はあまりゴルフが得意じゃなかったんだ。僕が後ろの組で、見ていたら、谷越えのショートホールで、その人は一世一代のナイスショットを打ってワンオンした。同じ組の人も、後ろで見ていた僕らも嬉しくて。拍手喝采でした。

 その人、普通は絶対にワンオンしない人だったんです。けれども、その時はピンから5メートルくらいに付いていた。ニアピン賞は絶対にその人が取ったと思った。年に1回の大きなゴルフコンペの時のことでした。大切な取引先が見事なショットでニアピン賞を取ったと思ったわけです。……ところが、次の組で僕が普通に打ったら、最高の一打が出て、ピンから1メートルくらいに付いちゃった。前の組の常務は僕の一打をグリーン横で見ているわけです。僕はその人の目の前でニアピン賞を奪い取った形になりました。

 あの時くらい情けない気持ちになったことはなかった。僕は当時、シングルだから上手ではあったけれど、僕にとっては会心の一打。でも、前の組の人たちはそれを見ているわけです。特に古河電工の重役たちはもう、僕のことを睨みつけてるという感じだった。ホールアウトした後、古河電工の当時の専務からこう言われた。

『川淵、ああいう時はな、絶対にグリーンに届かないクラブかオーバーする長いクラブで打つもんだ』

 だけど、どんなクラブで打とうが、行く時は行っちゃうのがゴルフ。ただ、コンペの後のパーティの時、僕は接待先の常務に『すみませんでした』と謝ったんです。そうしたら、その人から言われました。

『川淵さん、何を言ってるんだ。そんなことで謝るもんじゃない。これがゴルフですよ。私は何も恨んだりしていませんよ』と。立派な人でした。ただ、それからのコンペではショートホールでは気をつけましたよ。お客さんに勝たせるということではなく、ある程度、周りの空気を読みながら、ショートホールのニアピンに臨む。それ以外はゴルフ接待でもベストを尽くすのが相手への礼儀です」

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