自分のポートフォリオは偏っていないか?(国山ハセン氏写真提供 徳間書店)
S&P500やオルカンで分散していれば安心。そう考える個人投資家は少なくない。しかし、本当にそのポートフォリオは「分散」できているのだろうか。メガテック株や成長株に偏った資産配分の弱点とは何か。著書『投資初心者の僕がプロたちから学んだ、正しいお金の増やし方』が話題の、元TBSアナウンサー・国山ハセン氏が、投資のプロからのアドバイスを踏まえて解説する。【第1回】
目次
「卵は1つのカゴに盛るな」
投資について学ぶなかで、多くのお金のプロが共通して口にする言葉があります。それが「分散投資」です。
どれほど腕の良い投資家であっても、未来を100%予測することはできません。どんなに優良に見える企業でも、突然の不祥事や業績悪化で株価が暴落することがあります。だからこそ、プロたちは口を揃えて分散投資の重要性を説くのです。
そして、投資の世界には、この原則をわかりやすく表した有名な格言があります。
「卵は1つのカゴに盛るな」
もしカゴを1つしか持っていなければ、そのカゴを落とした瞬間に中の卵はすべて割れてしまいます。けれど、複数のカゴに卵を分けて入れておけば、たとえ1つを落としても、ほかのカゴの卵は無事です。
それは投資も一緒です。特定の投資先に集中すると、1 つが大きく損失を出した場合に資産全体が大きな影響を受けてしまいます。一方で、投資を複数に分散すれば、そのリスクを抑えつつ、長期的に安定した資産形成が期待できるのです。
「プロ中のプロ」GPIFというお手本
この分散投資を徹底的に実践している、最高のお手本があります。それがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。
GPIF とは、私たちが毎月支払っている年金保険料を預かり、増やすために運用している公的な機関です。いわば、「国民の老後資金」を担う日本最大の投資家で、その運用資産は約293兆円(2025年12月末時点)。日本のGDP(国内総生産)の半分近くに匹敵する、とてつもない規模です。
GPIF の使命は、この膨大な資産を「安全かつ効率的に」運用すること。短期的な利益を狙うギャンブル的な投資は論外です。求められるのは、何十年という長期にわたって、着実に資産を増やしていく運用です。
そしてGPIFは、その使命を見事に果たしています。2001年度の市場運用開始から2025年12月末までの累計収益は約196 兆円、年率換算で+4.71%という成績です。リーマン・ショックのように一時的にマイナスになる年はありましたが、それでも長期で見れば大きく崩れず、最終的には年率4%前後のリターンに落ち着いています。
大暴落があっても時間をかけて元の水準に戻り、そこからまた積み上がっていく。この「上下しながらも長期で右肩上がりになる」姿こそ、分散された安定運用の強さなのです。
では、GPIF は具体的にどのような運用をしているのでしょうか。
実は意外なほどシンプルです。GPIFは運用資産を大きく4 つの資産クラスに分け、それぞれ約25%ずつ、ほぼ均等に保有しています。
・国内株式(日本企業の株)
・外国株式(海外企業の株)
・国内債券(日本の国債など)
・外国債券(海外の国債など)
大まかに言えば、株式は企業の成長に投資する「攻めの資産」(ハイリスク・ハイリターン)、債券は国や企業にお金を貸して利子を得る「守りの資産」(ローリスク・ローリターン)です。
GPIFの戦略は、この「攻め」と「守り」を半分ずつ保有すること。さらに、投資先を「日本」と「海外」の2つに分けることで、地域分散も実現しています。
この組み合わせが絶妙なのです。仮に日本経済が不調でも、海外経済が好調なら外国株・外国債券でカバーできる。株式市場が全体的に下落しても、債券が上昇してバランスを取る。
このように値動きが連動しすぎない資産を組み合わせることで、どれか1つが悪化しても、ほかの資産が支えてくれる仕組みをつくっているのです。こうした徹底した分散戦略により、GPIFは約293兆円という巨額の資産を、長期的かつ安定的に増やし続けています。
