竹中平蔵氏は高市政権をどう見ているのか
総選挙に圧勝して「一強」と評される高市政権だが、「首相のパッションが見えない」―そう喝破するのは、小泉政権でブレーン・閣僚として改革路線をリードし、安倍政権でも産業競争力会議の民間議員などを務めた慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏だ。高市政権の現状について、竹中氏が厳しい視線で分析する。(聞き手/広野真嗣)【全3回の第1回】
本筋の制度改革ではなくその場しのぎの給付は悪手
6月30日に骨太方針の原案が示されました。幅広い意見をコンパクトにまとめており、事務局の努力が窺えます。予め言っておけば、私は高市内閣には期待しているし、応援したい。しかし現状では何をやりたいのか十分分からないというのが率直な感想です。
骨太では今後15年でAIや危機管理の分野に官民で370兆円を投資すると説明していますが、そもそも何が成長投資になるのか、官が目利きできるものではありません。
設備を動かすのには人材が不可欠ですが、労働市場の改革に切り込むのか。人手不足のなか移民政策をどう考えるか。これらの改革抜きに財政出動だけで成長などできるのか。改革姿勢が不透明なままで、民間企業が政府に付いてきてくれるかは疑問です。
〈小泉内閣の閣僚として不良債権処理や郵政民営化など看板政策を担い、安倍政権でも産業競争力会議などに参画した竹中氏。衆院で300を超える議席に支えられた「一強政権」という意味では、小泉純一郎・安倍晋三の両氏と同じ土俵に立つ高市政権だが、竹中氏は欠けているものがあると見る。〉
社会保障国民会議が食料品消費税を1%に引き下げ、1%分は給付に当てるという「議長案」が報じられています。
会議に呼ばれた有識者の大半が消費減税に反対でしたが、消費税ゼロを公約してしまった高市内閣として実行せざるを得ないという判断でしょう。
消費減税には私も反対です。しかし、より深刻な問題は、本丸と位置づけた給付付き税額控除が、本筋の制度改革ではなくその場しのぎの給付制度新設でお茶を濁そうとしていることです。
