対話を続けることを心がけたという、林家三平さん
9歳で父を亡くし、感謝の思いを伝えられなかった後悔を抱えてきた林家三平さん(55)。92歳で旅立った母・海老名香葉子さんの介護を通じて、対話の大切さを噛みしめた。三平さんに話を聞いた。
「今のうちにできること」は何か
先代の三平が亡くなった時、私はまだ幼かった。あまりに突然のことで、父に言葉を伝えることはできませんでした。その後悔は今も残っています。だからこそ、私がいちばん伝えたいのは、意思疎通ができるうちに感謝の言葉を交わしておくこと。
92歳で亡くなった母ですが、最後まで頭ははっきりしていました。体が弱っても、代筆をしてもらいながら原稿を書き続けました。家にいる時は車椅子を使ったり、椅子に座ったりしながら、できるだけ体を動かしました。晩年はヘルパーさんに来てもらって、デイサービスにも通っていました。
私の場合、母を介護したというより、少しずつ衰えていく母の様子を見ながら「対話」を続けた。それに尽きます。
母が80代で心臓の調子を悪くした時から、私は「もしかすると長くないかもしれない」と考えるようになり、「今のうちにできること」が何かを考えるようになりました。
孫の顔を見せること、成長していく姿を見せること。皆さんに愛され続ける林家一門の姿を見せること……。それを実行するには、母の意向を知ることが大切。だからそれまで以上に母と会話をするようになりました。
葬儀やお墓のことについても訊きました。「縁起でもない」と考える人が多いかもしれませんが、母はその都度、答えてくれました。おかげで、後になって家族がどうすべきか迷わずに済みました。
