森口亮「まるわかり市況分析」

米国で「景気不安」が話題に上る3つの理由 雇用統計は好感されるも懸念材料は残る

【理由3】シリコンバレー銀行経営破綻後、戻っていない小型株

 3月のシリコンバレー銀行の経営破綻に端を発した金融不安が拡大することへの懸念の声は、徐々に少なくなってきていますが、いまだゼロにはなっていないように思います。それを示しているのは、主要指数の中で一際パフォーマンスが悪いのが、中小型株で構成されるラッセル2000だという事実です。

 4月1週目のパフォーマンスは、S&P500が前週比▲0.1%だったのに対して、ラッセル2000は前週比で▲2.66%となっています。また、主要な地方銀行で構成されるナスダック銀行株指数についても前週比▲1.97%で、安値圏にとどまっており、金融不安が完全に解消しているようには思えないのです。

 ここまでをまとめると、「景気不安」が懸念されている要因として、以下の3つが考えられるわけです。

【1】OPECプラスのサプライズ減産による原油価格の上昇
【2】下振れ続いた景気指標からの景気不安
【3】シリコンバレー銀行経営破綻後の消えぬ金融不安

4月後半に向けて注目すべきポイント

 こうした状況を踏まえると、4月半ばから後半にかけては、原油価格の動向、経済指標の確認、金融株の決算という3つのポイントに注目すべきでしょう。

 OPECプラスの減産報道後、原油価格は高止まりしている状況です。さらなる減産があるのかないのか、原油価格とインフレ懸念の関係性に注意が必要です。

 また、4月は、CPI(消費者物価指数)や小売売上高など重要な経済指標の発表が続きます。5月3日のFOMC(連邦公開市場委員会)での政策修正の判断材料になるので要注目です。

 最後に、4月14日を皮切りに金融株の決算発表がスタートしていきます。シリコンバレー銀行の経営破綻後、銀行の規制強化も取り沙汰されており、主要銀行の今後の見通しや業績についても注目すべきでしょう。

 今は、景気不安に直結するさまざまな要素が連続的に重なりながらマーケットが構成されていて、非常に複雑な相場になりつつあります。一つ一つに対して、時系列に沿って市場の反応を確認し、何がどのように織り込まれているかを丁寧に考えていく必要がありそうです。

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